IDC Japanは1月26日、国内中堅中小企業IT市場の2009年上半期の実績と、2009年〜2013年の市場予測のアップデートを発表した。同社によると、2009年の国内中堅中小企業IT市場規模は3兆4879億円で前年比マイナス10.3%、2010年は3兆4270億円で前年比マイナス1.7%と、2008年から3年連続のマイナス成長を予測している。
今回の調査で同社は、従業員規模999人以下の国内中堅中小企業に関連する政策や法令、および2009年〜2013年の国内中堅中小企業IT市場の予測を、2009年上半期の実績を基にアップデートした。
中堅中小企業では、景気低迷の影響によって多くの企業で業績が悪化しており、全体にIT投資は抑制されているという。これによりIDC Japanでは、2009年の国内中堅中小企業IT市場は2ケタのマイナス成長なると予測している。
また、2010年は大企業のIT投資がプラス成長に回復する一方で、中堅中小企業では業績回復が遅れるため、IT投資ではマイナス成長が継続するとみている。中堅中小企業IT市場のプラス成長への回復は2011年以降の見込みだとしている。
産業分野別でみると、すべての産業分野において2009年は大幅なマイナス成長を予測しており、なかでも金融(2009年前年比成長率:マイナス12.1%)、製造(同マイナス14.6%)は、大幅のマイナス成長になるとしている。
その一方で、流通、サービスではEC関連での積極的なIT投資が見込まれるほか、サービスに含まれる医療では、新政権においてもレセプトオンライン化や地域医療連携を目的にしたIT投資が継続することから、比較的マイナス幅は小さく、堅調なIT投資が継続するとみている。なお、2010年は各産業分野共にマイナス幅は小さくなるとしているが、これは中堅企業を中心にしてシステム刷新や新規投資などが徐々に再開されることが主な要因だという。
民主党、社会民主党、国民新党連立の現政権では、「中小企業の支援」が重要な政策となっているものの、中堅中小企業向けIT投資支援施策はこれまでと比較して縮小傾向にあり、景気低迷、政府支援の縮小と、取り巻く環境は引き続き厳しい。一方で、「環境対策」「雇用促進」の観点ではさまざまな施策が2010年度予算案でも挙げられている。
IDC Japan ITスペンディングのマーケットアナリストである市村仁氏は、これらの調査結果と情勢を踏まえ、「ITベンダーは、これまでのような中堅中小企業の『コスト削減』『生産性向上』といった観点に加えて、新政権での重点分野に焦点を当てた『雇用促進』『環境対策』を踏まえた製品やソリューションを、2010年の事業拡大の課題として積極的に展開すべきである」と説明した。
(出典:IDC Japan、2010年1月)