IDC Japanは1月21日、2009年10月に国内主要企業180社を対象として実施したコンプライアンスに関する調査結果を発表した。これによると、企業がコンプライアンス推進活動において重視する法令は、「個人情報保護法」(65.0%)、「金融商品取引法」(41.7%)、「企業会計基準の国際化」(37.8%)の順となっており、個人情報管理、内部統制に加えて、国際会計基準(IFRS)への対応が、コンプライアンスの共通課題として認識されているという結果になっている。
また、IT統制に関わるコンプライアンス基盤ソフトウェアの導入状況を見ると、情報システム開発のライフサイクル管理において、下流の運用管理を支える「システム/ネットワーク管理ソフトウェア」から、上流のアプリケーション開発工程を支える「アプリケーション開発ソフトウェア」、フロントエンド側でウェブ系システムとの連携を担う「アプリケーションサーバーミドルウェア」へと対象範囲が拡大する傾向が明らかになったという。IDC Japanでは、今後、企業システムのプライベートクラウド化を推進するためには、堅牢性を重視する業務アプリケーションと動的変化への対応を重視するウェブアプリケーションの開発ノウハウの融合と同時に、ITガバナンスの強化のために、ソフトウェア開発ツールやプロジェクト管理ツールの重要性が増すとみている。
さらに、感染症法に基づく新型インフルエンザ対策の影響を受け 「事業継続計画」の導入率が回答企業全体の6割に達し 「災害対策計画」とほぼ拮抗する結果となっている。一方で、回答企業の中には、労働時間管理、出勤停止措置、賃金/休業手当の取り扱いなど、危機管理対策に関わる人事制度が未整備であるために、テレワーク、モバイルシステムなど、ICT利活用による技術的対策への展開を足踏みするケースも見受けられるという。
2010年4月には、時間外労働の割増賃金率引き上げを明記した改正労働基準法の施行が予定されていることもあり、IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの笹原英司氏は「事業継続管理(BCM)ソリューションを提供するICTベンダーは、法律事務所や第三者認証機関、人事コンサルティング会社、人事コンプライアンス管理ソリューションベンダーと連携しながら、情報の管理を担う情報システム部門と、人の管理を担う人事部門のシームレスな連携/情報共有を可能にするICT基盤の構築を支援すべきである」とコメントしている。
同調査の詳細については、IDCが発行したレポート「2010年 国内コンプライアンス市場 チーフコンプライアンスオフィサー調査:クラウド環境の法令遵守」で報告されている。
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