「Windows」のブラウザ選択画面で二番手に属するブラウザ7種の提供元のうち、6社が不満を表明し、表示の改善を求める請願書を規制当局に提出した。この選択画面は、欧州連合(EU)域内のWindowsユーザーに、Microsoftの「Internet Explorer(IE)」以外のブラウザを選択する機会を提供するものだ。
ブラウザメーカー6社は現地時間3月4日、欧州委員会の副委員長Neelie Kroes氏など、ブラウザ選択技術に関わった規制担当者に宛てて請願書を提出した。同技術は、Microsoftが独占禁止訴訟の和解策の一環として、欧州の多数のユーザーに提供を開始している。市場では上位5種のブラウザが支配的だが、比較的知名度の低いブラウザのメーカーらは、自分たちにEUの独占禁止訴訟の恩恵がさらに多くもたらされることを期待している。
既定のブラウザとしてIEを使っているWindowsユーザーには、「Windows Update」経由で実施される変更の後、ブラウザ選択画面が表示される。この選択画面では12種類のブラウザを選択できるが、画面をスクロールせずに見られるのはIEのほか、Mozillaの「Firefox」、Opera Softwareの「Opera」、Appleの「Safari」、Googleの「Chrome」の5つだ。Net Applicationsの統計によると、現在これら5つが特に多く利用されているブラウザとなっている。請願書を提出したメーカーらは、自社製ブラウザが最初の画面に表示されるような変更を求めるわけではないが、上位の5種以外にも選択肢があることをテキストかグラフィックスで示すことを望んでいる。
請願書(PDFファイル)には次のように書かれている。「選択画面の最終デザインのせいで、ユーザーの大多数が5種類のブラウザ以外にも選択肢があることに気づかないままになるのは明らかだ。これは、EUの委員会が言明した選択画面の目標、すなわち『広く使われている12種類のブラウザに関する情報』を欧州の消費者に提供し、『ユーザーがそのうち1つまたは複数を簡単にダウンロードしてインストールできるようにする』という目標に相反する」
請願書に署名があるのは、「Maxthon」を開発しているMaxthon Internationalの最高経営責任者(CEO)Jeff Chen氏、「SlimBrowser」を開発しているFlashPeakの社長を務めるStephen Cheng氏、「Avant Browser」を開発しているAvant ForceのCEOを務めるAnderson Du氏、「Flock」を開発しているFlockのCEOを務めるShawn Hardin氏、「Sleipnir」を開発しているフェンリルの海外マーケティング責任者である三木泰裕氏、「GreenBrowser」開発元の代表者LongFeng Ran氏の6人だ。二番手扱いされた第7のブラウザ、「K-Meleon」の名は請願書に見当たらない。
これらの企業は先に、Microsoftに選択画面を変更するよう要請したが、「当社(Microsoft)は現時点でいかなる変更も計画していない」との回答を受けていた。
欧州委員会の回答は、この請願書が実を結ばなかったことを示している。欧州委員会の広報担当者であるAmelia Torres氏は3月5日、米CNET宛の電子メールで次のように述べた。
「Microsoftが提案した取り組みは、2009年の秋に市場でテストされた。選択画面の構成はインターネットで公開され、EUにおける全言語でのプレスリリースとEUの官報の両方を通じて、注目を喚起した。請願書に署名している人物のうち、2名は市場テストに対する意見を出したが、それを先に進める提案を出してこなかった、他の市場参加者からも提案はなかった。したがって、懸案の構成は、欧州委員会が2009年12月16日にMicrosoftに課される責務を最終的に決めた際にも、変更されずに残った」
しかし、二番手扱いされたブラウザの利用が増えれば、この状況は変わるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ