データウェアハウスシステムの抱える課題
最初の講演には日本ネティーザ 営業本部長の滝沢理氏が登壇し、「DWHアプライアンスの意義と価値−そのあるべき姿とは」と題して講演した。
DWHアプライアンスは基本的に、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)、サーバ、ストレージを組み合わせた製品で「DWHにおける様々な要件に対し、最高の性能とシンプルな管理・運用を実現するために最適化されたアーキテクチャ」(滝沢氏)に基づいている。日本ネティーザの米国本社、Netezzaは2003年に初めて製品を市場投入して以来、この基本構造を変えていない。
営業本部長 滝沢理氏
現在のDWHシステムが抱えている課題について、滝沢氏は次のように指摘する。BIを利用する環境を構築しようとすると数カ月から1年程度かかり、完成してもレポート、分析要件の変更や追加が必要になると、データマートや集約テーブルの変更・追加作成、インデックス追加など、様々な開発・改修が必要となる。さらにデータの変更や追加があれば、データベース設計の手直し、物理ストレージ容量の追加を迫られる。加えてクエリーレスポンスの見直しが行われ、様々なチューニングによる試行錯誤、さらにはシステム自体の再検討という事態に発展する。「これは“負のサイクル”だ。分析のスピードと精度の悪化が意思決定の遅れにつながり、エンドユーザの満足度は低下し、結局活用されない高コストなDWHシステムとなる」と滝沢氏は話す。
“負のサイクル”に陥らないために―DWHアプライアンスの真の価値とは
滝沢氏は「NetezzaがDWHアプライアンスを世に出したのは、このような課題を解決しようとしたからだ」と強調する。Netezzaの製品には「そもそもチューニングという概念がない。インデックスは不要であり、データベース設計もほとんど必要としない。1日程度でDWHシステムとして利用できるようになり、管理・運用も容易だ」(同)という。
DWHアプライアンスの利便性が評価され、最近では大手ITベンダーもNetezzaに追随して同種の製品を投入してきている。滝沢氏は「低コストと既存資産の継続性維持などが利点とされている。しかし、他社製品の多くはOLTP用のデータベースをベースにしたものをハードウェアにバンドルしてチューニングしているだけ。データや分析要件が変わると、また設計やチューニングが必要になる。既存資産を使えたとしても、それはインデックスやデータマート、集約テーブルだらけの環境を移行するだけで“負のサイクル”はなくならない。低コストだというが、製品部分の初期投資を安く見せながら技術支援費用や保守費用は高くなる例もあり、管理・運用コストも減らない」と語り、課題の根本的な解消にはなっていないとする。
NetezzaのDWHアプライアンスについて、滝沢氏は「初期導入コストが低く、管理・運用と保守の両面でコストが大幅に低減化する。既存のBI環境、データ、SQLをそのまま使えるオープン性があり、RDBMSの標準技術を採用しているため、特殊な技術は一切必要なく、DB技術者が問題なく利用できる。エントリーレベルから段階的に拡張できる製品体系を整え、スモールスタートも可能だ」と述べ、その優位性を強調した。
真のDWHアプライアンスの価値として、滝沢氏は次の項目を挙げている。
- 設置した後、設計やチューニングなど不要ですぐにDWHシステムとして利用開始できる
- 定型/非定型を問わず明細データによるレポーティングや分析に対応し、クエリー性能が高速で、しかも安定しているため、ユーザは切り口を変えながら繰り返し高度な分析が可能
- データマートや集約テーブル作成といったバッチ処理が不要となり、DWHシステムの管理・運用コストを大幅に削減しながら投資効果を最大化できる
滝沢氏は「最近のDWHシステムが抱える“負のサイクル”のような課題に悩まされているお客様はまずNetezzaが提案する実機検証を通じて、新しいDWHの世界を実感していただきたい」と呼びかけている。