しかし、クラウドコンピューティングは、多くの人がここ何年かの間に主張してきた方法で、そうした状況に変化をもたらすものだ。重要な要素は、クラウドコンピューティングを利用することで、アプリケーションの観点から見た投資を、資本集約型の取引から継続的な運用コストにシフトできるということだ。
これは、「ソフトウェアは3つめのメジャーバージョンが出るまで、満足に機能しない」という古くからの格言を受け入れるのが、はるかに容易になることを意味している。最初のバージョンを試して失敗すれば、コンピューティング時間のコストが出ていくだけだ。2つめのバージョンでも同様だ。3つめのバージョンで初めて満足な結果が得られるのなら、前の2つのインフラストラクチャはもう使用していないのに費用だけは発生するという状況もなくなる。
(筆者が自分の主張を分かりやすく説明するために、現実を多少誇張していることは認めるが、これで概要をご理解いただけたと思う。前金で支払う必要がなければ、IT試験導入の費用対効果ははるかに高くなる)
このことはパブリッククラウドだけでなく、プライベートクラウドにも同様に当てはまる。ただし、プライベートクラウドの場合は、クラウド上にホストされているアプリケーションとサービスの数に幾分依存する。これについては、企業のプライベートクラウドを、市場で提供されているパブリッククラウドサービスの競合サービスとして考えると、最も理解しやすいと思う。そして、ビジネスの観点から見ると、パブリッククラウドでもプライベートクラウドでも、重要なのはキャッシュフローだ。
したがって、プライベートクラウドを構築するという投資判断は、費用対効果とリスク分析に基づくビジネスモデルの判断になる。
覚えておいてほしいのは、クラウドでは、総所有コスト(TCO)を切り詰めることよりも、技術と財務の両面でITの俊敏性を高めることの方がはるかに重要だということだ。筆者は、少しでも俊敏性を高められるのなら今後もっとクラウドに投資してもいいという最高情報責任者(CIO)に会ったこともある。そのうち何人かは、俊敏性の向上を実現している。
皆さんの会社はいかがだろうか。不況を乗り切るためにクラウドの可能性を模索しているのだろうか。それとも、現在と将来の経営状態に関係なく、より俊敏なIT組織へ移行しようとしているのだろうか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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