「Parallels」と聞いて、何を思い浮かべるだろう?多くの人はMac用の仮想化ソフトのパッケージを思い起こすのではないだろうか。しかし、仮想化と自動化のソフトウェアに強みを持つ米Parallelsは、ITサービスプロバイダー向けに製品を提供していることでも知られる。
クラウドコンピューティングがいよいよ本格的に離陸するとされる日本市場で、Parallelsはどのような活動をしていくのか――Parallelsでサービスプロバイダー担当代表取締役を務めるJack Zubarev氏に法人向け戦略を聞いた。
--クラウド分野全体の成長性についての見通しは?
我々のサービスデリバリーシステムは、セルフサービスポータル、プロビジョニング、課金などの機能を基盤に、現在900種以上のアプリケーションを提供できる。日本では300社ほど、全世界では5000社を超えるサービスプロバイダーが(Parallelsのテクノロジを活用して)中堅中小企業向けにクラウドサービスを供給している。今後、ITや通信に対する中堅中小企業の投資のほとんどがクラウド関連になると考えており、世界市場では合計で5000億ドルくらいの規模になるのではないかとみている。クラウドは中堅中小企業にとって、非常に好適な形態だと思われるからだ。
その根拠として、3つの要因がある。まず第1に、クラウドを採用することでシステムを自社で保有するよりもはるかにコストを縮減できるからだ。第2に、かつては大企業でなければ手が届かなかった高度なアプリケーションが、クラウドを経由することで中堅中小企業でも活用できるようになり、競争力をより向上させることができる。第3の要因は、クラウドの操作性が良いことだ。比較的低価格のソフトでも、オンプレミスでは複雑性が高く、使い難いことも少なくない。中堅中小企業では、高度な技術に通じたITスタッフが必ずしも十分な人数であるとは限らないことから、この点も有利だろう。Parallelsの提供するシステムを使えば、サービスプロバイダーは安価かつ容易に利用できるクラウドを中堅中小企業に提供することができる。