今回、日本市場に投入した「Parallels Desktop 6 for Mac」では、管理性やパフォーマンスの改善を図った。また、モバイル端末向けのツール「Parallels Mobile」を使えば、iPadやiPhoneからMac上で動作している仮想Windowsマシンへのリモートアクセスも可能になる。
Parallels Desktop 6 for Macは多様なMacユーザーを念頭においており、一つの主眼はゲームソフトのヘビーユーザーで、もう一つの重要なターゲットはWindowsからMacへの乗換えを望む層だ。今後は業務用にもさらに使いやすく改良し、消費者向けだけでなく中堅中小企業、さらには大企業向けにも浸透させていきたい。
--仮想化技術に取り組んだきっかけは?
Parallelsを設立して間もない2000年頃は、インターネットの普及が進んでブームが一つのピークに達するとともに、ネットを通じてソフトを提供するASP(Application Service Provider)が出現していた。Parallels設立の目的の一つは、ASPが当時抱えていた問題に対処することだったのだ。その頃のASPの課題は、1台の物理マシンからどのようにして複数のユーザーにサービスを提供するかということだった。ユーザーごとに1台1台サーバを設置していては、費用がかかりすぎてしまう。そこで我々は、単一のサーバで多数のユーザーにサービスを供給できる技術の確立を目指していた。
2001年半ば頃に最初の製品を投入した。しかし、その時期にはすでにインターネットバブルがはじけていたため、一度ウェブホスティングの事業に移行した。当時、ホスティングはまったくニッチな分野で、Parallelsは中堅中小企業向けの電子メール関連のホスティングなどを提供していた。だが、2007年から2008年にかけて、この事業分野はクラウドの一部に含まれるようになった。クラウドの市場は非常に大きい。そこで我々もホスティングに留まらず、中堅中小企業向けにクラウドアプリケーションを提供するサービスプロバイダーを支援する事業に着手した。ただし、Parallelsが設立当初から強みを持つのはサービスデリバリーシステムであり、それは不変だ。