EMCジャパンは11月16日、物理と仮想の混在環境を一元的に管理できる統合運用管理ソリューション「EMC Ionixファミリ」の事業を強化すると発表した。EMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部長の糸賀誠氏は、「仮想化やクラウド化が進んでおり、Ionixに対する顧客の関心も高まってきた。機は熟したので、ここで体制を整えてビジネスを展開していきたい」と事業強化の背景を語った。
Ionixは、EMCが2004年にVMwareを買収したのち、ITリソース管理が重要だとして買収したSystem Management Arts(SMARTS)などの製品をまとめ、2009年に新ブランドとして発表したもの。Ionixの主なソリューションとしては、ITリソース間の依存関係を検出し、個々のITインフラとサービスとの関係を可視化するソリューションや、動的に変化するリソース利用環境において、障害時の原因とビジネスインパクトを特定する分析ソリューション、サーバ、ネットワーク、ストレージにおける個々のプロビジョニングを排除し、サービスリソースとして統合かつ自動化されたリソースプロビジョニングとその変更管理を可能にする自動化ソリューションなどがある。
今回Ionix事業を強化するにあたって注力するポイントは、「製品の統合」「パートナー販売の強化」「クラウド運用管理分野での活動の強化」の3点だ。
まず製品統合として、50以上のIonix製品群の中から、アプリケーション管理製品の一部とサービス管理製品の開発をVMwareに移管し、「VMware vCenter」を含むVMwareのマネジメントソリューションへと統合した。VMwareへ移管された製品は、アプリケーション管理製品の「Ionix Application Discovery Manager」、「Ionix Server Configuration Manager」、「Ionix Application Stack Manager」と、サービス管理製品群の「Ionix for Service Manager」(Ionix Service Manager、Ionix Service Desk、Ionix Service Portal、Ionix Service Workflowの4製品)の合計7製品だ。
移管した製品は「VMware vCenter Application Discovery Manager」、「VMware vCenter Configuration Manager」、「VMware Service Manager」として、EMCが販売する。糸賀氏は、「サービス管理とアプリケーション管理はVMwareが得意とする分野。EMCでは引き続きインフラ管理部分を開発する」と説明する。
パートナー販売の強化にあたっては、これまでの戦略パートナーである伊藤忠テクノソリューションズ、NEC、ユニアデックスの3社に、新たにネットワンシステムズが戦略パートナーとして加わったほか、パートナーによるシステム構築や保守をEMCが全面的に支援する。また、今後パートナーの数を2011年末までに10社まで拡大する計画だ。
クラウド運用管理分野での活動の強化については、「ユーザーは、クラウド運用管理の問題点にようやく気づき始めた段階。そこで、パートナー企業やユーザー企業と共同で、まずはクラウド運用管理の課題を明確化し、その解決策を提案していきたい」と糸賀氏。そのためにも、2011年末までに「クラウド運用管理コンソーシアム」の設立を目指すという。
糸賀氏によると、IonixはすでにワールドワイドでMicrosoftやAT&T、UBSなどにて導入されているほか、日本でも企業名こそ明かせないものの、製造、金融、ISPなどで導入が進んでいるとしており、「2011年はクラウド運用管理元年となる」と話す。今回の事業強化策により、EMCジャパンでは2011年末までにIonixベースの一元運用管理基盤を新たに30社に導入することを目指している。