日本ユニシスとビジネス支援図書館推進協議会は、総務省の2010年度「新ICT利活用サービス創出支援事業」(電子出版の環境整備)の採択を受け、12月10日から鎌倉市で「図書館デジタルコンテンツ流通促進プロジェクト」の実証実験を開始すると発表した。実証実験に先立ち、12月1日より自宅などから電子図書館を利用できるモニターを鎌倉市市民を中心に募集している。同プロジェクトの実証環境には、日本ユニシスのクラウド型電子図書館サービス「LIBEaid/ライブエイド」を利用する。
同プロジェクトは、公共図書館を中心とする「地域でのデジタルコンテンツ利活用のあり方を研究」するもの。このため、ビジネス書、文学、児童書などの一般的な電子書籍とともに地域発のコンテンツ活用についても実証実験の対象としているという。地域住民や鎌倉市役所、鎌倉市教育委員会などから貴重な文化的資料や世界遺産登録推進活動についてのコンテンツの提供を受けるなど、地域ぐるみの取り組みを行うとしている。一方で、ICTならではのメリットを活かした生涯学習や教育に活かせるコンテンツを実証することで地域教育におけるデジタルコンテンツの活用の可能性についても研究を行う。
LIBEaid/ライブエイドは、日本ユニシスが2010年6月から提供しており、電子書籍やデジタルコンテンツの提供を図書館が地域の市民を対象に実現できるサービス。利用者は、図書館施設や自宅や職場、学校などで、図書館が所蔵する電子書籍にアクセスできる。また、出版社をはじめとするコンテンツホルダーに対しては、DRM(デジタルデータの著作権保護機能)などにより、著作権保護管理を行うデジタルコンテンツ配信基盤を提供。書店や取次会社に対しては、各社の販売ノウハウやチャネルを活かした販売機会を提供するという。
同プロジェクトにより、日本ユニシスとビジネス支援図書館推進協議会は、図書館で電子書籍を活用するための著作物取り扱いについて、海外実態を踏まえて技術面、運用面から要件を整理する。実証実験の実施にあたっては、地域資料などの電子書籍をクラウド型電子図書館に格納し、鎌倉市中央図書館および近隣店舗のパソコンや募集するモニターの自宅などから、電子図書館の利用実績や評価を取得する。さらに、電子書籍を図書館で活用するために必要な技術体系や地域で活用する場合のスキームなど、先行する事例や業界関係者の意見を踏まえたガイドラインを作成。これをもとに今後、業界関係者の合意形成を図る活動を進める予定としている。