日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は12月6日、9月に買収を完了した3PARの製品を含む、同社のストレージ戦略について説明を行った。
説明会には、日本HP執行役員、エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂氏、ストレージワークス事業本部長の飯尾光國氏に加え、米HP、HPエンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク HP StorageマーケティングディレクターのCraig Nunes氏も参加。買収前の3PARでは、マーケティング担当副社長を務めたNunes氏は、3PARのストレージ製品がHPの推進する「Converged Infrastructure」戦略の実現において、重要な役割を果たすものであることを強調した。
Nunes氏はまず、HPのストレージ分野における現状を説明。IDCの調査によれば、直近の四半期における、ワールドワイドでのストレージ全体でのシェアは1位であるものの、外部ディスク装置に限れば11.3%のシェアで3位のポジションにあるという。3PARをはじめとするストレージ関連ベンダーの買収は、この分野での競争力を高めるための戦略の一環であるとした。
実際、ここ数年のうち、HPは3PARのほか、IBRIXやLeftHand Networksといった企業を次々に買収。外部ストレージ製品と技術のポートフォリオを急速に拡充してきた。iSCSI対応のP4000 SANソリューション、X9000シリーズをはじめとするNASシステム、デデュープ(重複排除)技術「StoreOnce」が特長となるD2D Backup Systemなどに加え、新たにラインアップに加えられた3PARは「クラウドへのニーズに応える製品ライン」になるという。
Nunes氏は、現在の市場において「IT as a Service」への流れが急激に加速しており、ストレージの敏しょう性(Agility)と効率性(Efficiency)に対する新たな要求が生まれているとする。ユーザーが必要とするさまざまなITリソースを、それぞれが物理的に所有するのではなく、必要に応じた「サービス」として利用しようというこのコンセプトは、「過去にも何度となく試みられてきたが、いずれも失敗してきた。しかし現在は、実現するためのインフラと技術が存在する」(Nunes氏)とし、3PAR製品の持つ機能が、その要求に応えるとした。
HPのConverged Infrastructure戦略における、クラウド向けストレージとしての3PAR製品の優位性として、Nunes氏は「マルチテナント」「効率性」「自律性」の3点を挙げた。
マルチテナントの点では、物理的なストレージを多様なアプリケーションやビジネスラインで共用するための機能を持つ。また、そうした利用形態を考慮し、各種のアプリケーションやユースケースに応じたデータセキュリティの確保が可能な点も強調する。効率性の点では、Thin Provisioning技術による必要なストレージ容量のダイナミックな割り当て機能などにより、投資の最適化や機器台数の削減に寄与できるとする。また、自律性の面では、数秒単位で完了するプロビジョニング機能や、高いパフォーマンスによるサービスレベルの確保により、予期せぬワークロードの増加などにも柔軟に対応できると述べた。
「3PARのカスタマーは、ストレージ管理コストを90%削減できる。日本のITユーザーにも、ぜひイニシャルコストだけでなく、TCO全体を考えた選択をしてほしい」(Nunes氏)
3PARがStorageWorksのポートフォリオに加わったことにより、HPではプライベートクラウド、パブリッククラウドの各分野に対して、ネットワーク、サーバ、ストレージのプロダクトスタックを用いて、統合的な管理を含む総合ソリューションを提供していくという。日本HPの杉原氏は、「3PARがHPのブランドとなったことで、既存ユーザーにも、導入を検討している新規ユーザーにも、導入と運用に対する安心感を与えられるといった側面もある」と話した。