イマドキな進化を遂げる「バックアップ」

石井明(シマンテック) 浅野百絵果(シマンテック)

2011-02-28 17:00

簡単、効果的、コスト効率がいいバックアップ

 企業規模を問わず、ビジネスにおける重要性が増すITシステムとそのインフラを支えるストレージとサーバ。企業にとって最も重要視されている資産のひとつが、ストレージに格納されているデータであり情報といえる。この情報(データ)について、バックアップが必要か不要かという議論は、もはや行われることはなく、バックアップは必要という意見が圧倒的多数だろう。

 今日における課題は、ビジネス上の影響を考慮して優先順位を付け、いかに効率よく、容易に、コスト効果の高いバックアップにするか、という点を検討されることが多いのではないだろうか。この課題へのベストな対応を決定するにあたっては、ビジネス要件、予算、対応ソリューションとのバランスで決定されるのが一般的である。

 今回は複数回を通し、対応ソリューションの選定にあたって、特徴はもちろん、ぜひ知っておきたいポイントを、具体的な製品情報を交えながら、ご理解いただくことを目指す。

 主なバックアップ(この時点では、あえて“バックアップ”と表現する)に関する基礎的な要件やテクノロジの整理と並行して、実績のある高度なテクノロジ、普及期を迎えた最新のテクノロジから、今後普及が予想される次世代のテクノロジまでステップを踏んでいく予定だ。

新技術への移行も考慮すべし

 調査会社のIDCの予測によれば、2014年までに企業が扱うデータ量は約400%増加するだろうと言われている。つまり、現在の4倍の規模だ。高度化するITインフラをベースに、活発に生成されるデータはますます大容量化が進むことがこの背景にある。

 しかし、IT予算を4倍にできる企業はほとんどなく、既存のテクノロジによる情報の保護には限界が見えてきている。加えて、データ増大の要因は従来のデータベースなどで管理される構造化データではなく、画像、音声、文書やメールといった、いわゆる非構造化データがけん引役となるため、非構造化データに対する効果的な管理方法も必要になってくる。

 現在のIT業界におけるメガトレンドのひとつは、サーバの仮想化だ。2009年は、物理サーバの出荷台数を展開された仮想マシンが上回った年でもあった。この傾向は、ますます増加することが予想され、急速にビジネスのスピード感が上がる中、システムに俊敏性や効率性をもたらす一方で、従来とは異なる管理方式が求められることも事実である。

 さらに、今後普及が予想されているクラウドやモバイルなど、新たなビジネス上の価値をもたらす新テクノロジは、従来の管理手法の延長ではなく、新たな手法によって効果を最大限引き出すのが一般的な見方である。一方で、これらの新テクノロジの活用にあたって、常に検討材料となるのは、今回のトピックである「バックアップ」である。いかにビジネス上重要なデータを保護する土台を確立するかが、新テクノロジへの移行、そしてビジネスへの活用につなげるポイントであるともいえるだろう。

図1

ユーザーニーズの異なる大きなマーケット

 「バックアップ市場」という定義は、実は非常に広範囲なものであり、多様化が進み異なるニーズが多く存在する市場でもある。この時点では、あえて最新のトレンドや複合的な要素を含めず、読者のみなさんが必ずどこかに入る切り口のひとつとして、「システムサイズ」を例に説明する。

小規模」:サーバが数台程度まで。主にWindowsサーバを利用。専任のバックアップ要員やITスタッフは置かず、他業務と兼任であることも。いかにバックアップを容易に、そして何より万一のリカバリの際には、容易に実現できるかがポイントになる。

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