IDC Japanは6月16日、国内マネージドサービス市場企業ユーザー調査の結果を発表した。これによれば、現在、すべて自社のデータセンターやサーバールームなどでITシステムを運用している企業は全体の約63%を占めているが、今後3年間でその比率は約42%と大きく減少する傾向がみられるという。
逆に、事業者のデータセンターサービス(iDC)を利用する企業は、約32%から約43%へ10ポイント以上増加することが見込まれいている。このことから、IDCでは、企業の社内ITシステムの運用場所は、自社内からiDCへと徐々にシフトしていくと想定している。
マネージドサービスへの投資意欲は前向きであり、2010年2月に実施された前回調査では、投資の抑制傾向が見られたSIサービスやネットワーク運用保守サービスも復調の兆しが見えているという。とりわけ、IaaSは、予算の大幅な増加を見込むユーザーが増えており、iDCサービスにおける市場規模の拡大を加速する可能性が高いとIDCではみている。
東日本大震災の発生が契機となり、ITシステムにおける災害復旧(DR)対策への取り組みが拡大し、事業者が提供するDR関連サービス需要が顕在化しているという。iDCの安全性や自社構築と比較した場合のコストパフォーマンスへの期待が高まっている。立地としては、iDCの安全性や電力の安定供給を求めて、電力不足の懸念が高い東京電力管内以外の地方のデータセンターへの需要が顕在化しているとIDCでは分析している。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの川上晶子氏は「IaaSの潜在需要を開拓するためには、ユーザーニーズにあったマネージドIaaSメニューの強化が重要。DR関連需要は拡大しているが、限られた予算や納期の中で、求められるリカバリーレベルに鑑み、自社の強みを生かして、どのようなソリューションが提供できるかが鍵になる」とコメントしている。調査は、従業員数10人以上の国内企業789社を対象に4月に実施された。