ネットいじめが深刻化しつつあるといわれている。しかし、多くの親は自身でネットいじめの経験がないことから、子どもたちの苦痛を理解できないようだ。マカフィーは8月12日、ネットいじめという新しい形の精神的虐待から子どもを守ろうとする親を支援するために、ネットいじめについて解説している。
マカフィーはネットいじめを「PCや携帯電話などの電子端末を使って、相手に対し故意に危害を加える」ことと定義。子どもがブログや掲示板などを使って、ほかの子どもを脅かしたり、物笑いの種にしたり、誹謗したり、侮辱したりすれば、それがネットいじめだとまとめている。
この兆候は世界で広がっているというが、日本の場合、掲示板サイトは記録を長期間保存し続けているため、実名を挙げての誹謗中傷などのログが残りつづける。そのため、被害に遭った子どもは、心に一生の傷を受けることになるとしている。スマートフォンやタブレットなどの普及で、その増加傾向はより加速している状況にあると分析している。
同社はネットいじめの主な原因として(1)書き言葉の持つ力に対する無知、(2)匿名性と万能感、(3)嫉妬や恨み、仕返し――という3つを挙げている。
(1)については、10代や思春期前の子どもの大半は、言葉や行動が相手に及ぼす影響をあまり自覚していないという。多くの子どもたちは単なるいたずら心で行動しており、ふざけて友達をからかう気持ちで始めた行為が雪だるま式に脹れあがり、最終的には子どもたちがコントロールできる力を超えたネットいじめに発展するとしている。
(2)に対しては、日本の場合、ソーシャルメディアの特徴として匿名性があり、多くの子どもが自分の身元を隠したまま、簡単に相手に攻撃できることを挙げている。匿名の存在として害を与えることで権力意識やコントロール感が生まれ、攻撃がエスカレートしていくという。
(3)では、いじめの根本的な原因はあまり変わっておらず、リアルのいじめと同じように、嫉妬や恨み、仕返しがネットいじめの主な原因だとしている。家庭で嘲りや虐待の対象となっている子どもや、攻撃的な不良グループに属している子どもが、このような行動を取る状況も、リアルのいじめと同じだとしている。ネットいじめの兆候として、以下の7つを挙げている。
- 電話に出ることやPCをつけることを突然嫌がりだす
- ソーシャルメディアをより頻繁にチェックしている一方で、親が近づくと画面を切り替え、画面を隠そうとする
- 子どもが突然非社交的になり、友達や外出、パーティを避けるようになる
- 夜中にあるいはお風呂場で、隠れて泣いている
- 学校の成績が下がる
- 自己否定的な発言が多くなり、子どもの自己評価が低くなる
- 憂鬱そうな様子を示したり、TVやゲームなど、以前は楽しんでいたことに集中できなかったりする
ネットいじめの被害に遭った子どもは、悪意のある投稿や嫌がらせのメール、恐ろしいメッセージに直面する。ネットいじめの狙いは、対象の子どもを侮辱し、精神的に参らせ、社会から仲間外れにすることだという。その影響は深刻であり、心の傷として長く残ることになる。被害に遭った子どもは、一人ぼっちになり、うつ状態になったり、自殺を考え始めたりすることさえあるとしている。
では、ネットいじめから子どもを守ると同時に、ネットいじめの被害者を生まないようにするには、どうすべきか。マカフィーは以下のことを子どもに教えることを推奨している。
- 現実で知り合いではない人と友だちになったり、チャットしたりしない
- 新たな嫌がらせの材料を与えないよう、オンラインでも礼儀とプライバシーを守る
- いじめに絶対に反応しない
- いじめられた場合は、そのページのスクリーンショットを撮り記録を残す
- 友だちリストからいじめっ子を削除し、ネット上の迷惑行為を訴える。いじめが深刻な場合は、親や先生に相談する
マカフィーは、万一、自分の子どもがネットいじめの被害者になったら、IDとパスワードを変更するか、しばらくの間、子どものオンライン活動をすべてやめさせることを提唱している。同時に、子どもを長期間1人にしないことも提唱している。被害に遭った子どもには、誰かが常にそばにいて慰め、支えになる必要があるからだという。