IDC Japanは9月5日、国内IT市場主要ベンダーの2010年下半期(7~12月)製品ポートフォリオとビジネス戦略の分析結果を発表した。日本IBM、NEC、富士通、日立製作所、日本ヒューレット・パッカード(HP)、東芝(含む東芝ソリューション)、デル、マイクロソフト(当時)、日本ユニシス、SAP、NTTデータの11社について、IT製品を17種類に分類し、2008年上半期(1~6月)から2010年下半期の国内売上額を半期ごとにまとめた。
主要ITベンダー11社の2010年下半期の売上額合計は3兆7937億円で、前年同期比成長率は1.4%増と、同年上半期の前年同期比成長率0.7%減からプラス成長に転じていることがわかった。このことから各主要ベンダーの2010年の業績は、世界経済危機の影響を受けた2009年からは回復傾向にあると分析した。
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売上額上位は、富士通、NEC、日本IBM、日立製作所、NTTデータ、日本HPが占めた。このうち、富士通、NEC、日本IBM、日立製作所、日本HPの総合ベンダー5社の売上額合計は2兆8081億円、前年同期比0.8%増とプラス成長。前年同期比成長率は、富士通が1.2%増、NECが0.2%減、日本IBMが0.9%増、日立製作所が0.8%減、日本HPが4.9%増という結果になっている。しかし、デルやSAPといった専業ベンダーは依然マイナス幅が大きく、前年同期比成長率は、デルが3.4%減、SAPが5.1%減と、回復にはまだ時間を要すると見ている。
国内のITベンダーについて、世界経済危機以降、クラウドなどの新テクノロジでリーダーシップを発揮し、今後のビジネスの獲得を推進しているとした上で、ビジネスの推進にあたっては、企業のイメージ戦略も重要だとしている。たとえば、各ITベンダーは、経営方針説明会などでクラウド戦略など自社が対象とするポジショニングを表明しているが、その戦略を推進しているにもかかわらずイメージが弱いケースが見られるという。そこに企業が目指す方向性とユーザー企業が認知する価値(イメージ)とのギャップが発生する問題点が浮かび上がると指摘している。
ITスペンディング シニアマーケットアナリストの福田馨氏は「ITベンダーは、自社が目指す方向性とユーザー企業が認知する価値とのギャップの有無を診断すべき。ギャップがあれば、その存在する理由を解明し、製品強化あるいは認知向上活動などビジネス対策を検討する必要がある」とコメントしている。