光陰は矢よりも迅(すみや)かなり——
東日本大震災が発生した2011年を終え、改めてその感を強くしています。一般に知られることわざは「光陰矢のごとし」ですが、読者の多くも、矢と比べるべくもないほど迅かに過ぎた年と受け止めているのではないでしょうか。
冒頭の言葉は道元『正法眼蔵』のエッセンスをまとめた『修証義』第五章にあります。「光陰は矢よりも迅かなり」に続くのは「身命は露よりも脆(もろ)し」。2011年も終わりを迎えるとき、この言葉が何度も頭をよぎりました。
東日本大震災にあたっては、ZDNet Japan編集部も他のメディアと同様、ITベンダーによる復興支援の枠組み、製品やサービスの無償提供などの記事を掲載してきました。
一方で、それらの支援策がどれだけ利用されたのかも調査しました。また、ITベンダーは被災地で有償ビジネスを展開してはいけないのか、無償支援は苦しい経営が続くであろう地場ベンダーのビジネスの芽を潰してしまうのではないかなど、多くの問題も提起してきました。
こうした問題意識を持った有志が集まり、5月9日に開催したのが「3.11後のITビジネスと営業の役割」でした。
震災の話題は2011年で一区切り、などという気にはなれませんでしたが、『修証義』第五章にこんな言葉を見つけました——「此一日の身命は尊ぶべき身命なり」
ZDNet Japan編集部でも一日一日を大切にしながら情報提供に励み、読者の皆さまにいっそう愛されるメディアを目指します。
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ZDNet Japan編集長 冨田秀継