IDC Japanは2月21日、国内データセンターアウトソーシング市場の地域別予測を発表した。関東地方の2011年のシェアは国内市場の72.3%(金額では4582億円)に達しており、東京都23区内だけでも34.5%となっている。関東地方のデータセンターの市場規模は2011~2015年の年間平均成長率が4.6%で推移するとみている。
ユーザー企業のサーバをデータセンターで監視、運用するデータセンターアウトソーシングは、サーバの設置場所を貸し出す「コロケーション」と、データセンター事業者が所有するサーバをユーザー企業に提供する「ホスティング」で構成されるが、今回はコロケーション市場を対象にしている。
大規模なデータセンターは、東京都23区内を中心にした関東地方に多く存在しているため、国内市場での関東地方は高いシェアとなっている。東京都23区内には、ネットサービスや通販などネット企業の本社が多く存在しており、これらの企業が自社に近いデータセンターを大規模に利用していることも、東京周辺のデータセンターのシェアが高い理由になっている。
東日本大震災後に首都圏で電力供給事情が悪化したことで、首都圏以外のデータセンターを利用することに関心が高まっているが、大規模なデータセンターの新設は依然として首都圏内で継続しており、首都圏のデータセンター市場の成長率は高い水準が続くとみている。特に東京都23区の外側での大規模データセンター新設が相次ぐ2012~2013年には、同エリアのシェアが拡大すると予測している。その一方で、北海道や中国、九州などでも本格的なデータセンターの拡張が始まっており、地方での利用も拡大するとみている。
データセンターアウトソーシング市場は構造的に成熟期を迎えつつあると説明。同社の伊藤未明氏(ITサービスリサーチマネージャー)は「データセンター事業者にとっては、システム運用の効率と品質向上によって、サービスの差別化を図ることが重要」とコメントしている。