大企業は国籍に関係なくデータセンターの課題が共通

聞き手・構成=田中好伸 (編集部) 文=吉澤亨史

2011-08-30 06:00

 モバイル端末への対応では遅れを取っていたが、今や競合に負けることはない――。VMwareはデスクトップの仮想化でも拡大を見せようとしている。前回に引き続き、VMwareの仮想化・クラウドプラットフォーム事業部門のシニアバイスプレジデントであるRaghu Raghuram氏に話を聞いた。

デスクトップの管理とセキュリティが重要

――VMwareはサーバを含むデータセンターやインフラにおいては非常に強いですが、デスクトップの仮想化においては競合に比べて弱い印象があります。デスクトップの仮想化についてヴイエムウェアはどう考えているのでしょうか?

 ひとくちにデスクトップ仮想化と言っても、実際には広範囲で使われており、いろいろな意味合いがあります。たとえば、Citrixはプレゼンテーションサーバ製品を含めるために「デスクトップ仮想化」という言葉を再定義しました。私たちはプレゼンテーションサーバタイプの製品を持っていませんが、デスクトップの仮想化をする点ではバックエンドのインフラにおいても、お客様にとって私たちの方がより好ましい選択肢になっていると思います。事実、CitrixにおいてもユーザーはバックエンドにVMwareの製品を使っています。

 もうひとつのポイントとして、デスクトップの管理とセキュリティの問題があります。管理やセキュリティの部分でも、VMwareはリッチな機能セットを用意しています。デスクトップの管理とセキュリティという点でも、VMwareは競合他社より一歩進んでいると思います。

 さらに、3つ目のポイントとしてクライアントインターフェースがあります。VMwareはさまざまなデバイスについて、1年前は後れをとっていました。しかしこの1年でiPhoneやiPad、Mac、Android、あらゆるデバイスに対応してきています。これは私たちのアドバンテージといえます。今回のバージョンアップによって、VMwareはユーザーが望んでいる使い勝手でユーザーインタフェースをテーラーメイドで作ることができました。これはタブレット型や携帯端末型に関わらず、スマートフォンにおいても同様です。

 トータルで考えると、「さまざまなデバイスに対応するクライアントインタフェース」「仮想化におけるバックエンドのインフラ」「管理とセキュリティ」――という3つのカテゴリから見ても、Citrixより進んでいるといえるでしょう。

IT部門もビジネスへの貢献へ

――VMwareは、効率化と自動化によって情報システム部門の労力を削減してくれるという印象があります。サーバが楽になったのにクライアントはまだ楽にならない。そこもVMwareが解決してくれるものと期待しています。

 多くの顧客は、サーバの仮想化が一段落すると、同じツールで今度はクライアント、デスクトップの仮想化を進めようと考えます。お客様から聞いたところでは、ビジネス部門が望むアプリケーション、必要としているキャパシティをいかに迅速に提供できるかが重要であるといいます。その観点では、クラウド管理ソフトウェア「VMware vCloud Director」によって即座にキャパシティを提供できるようになります。

 価値提案の最大のものはコスト削減ではありません。ビジネスに対して俊敏性を提供し、いかに迅速な対応を可能にするかが、最も重要だと考えています。

 たとえばウェブサイトの運営において、トラフィックが集中したときに追加キャパシティをすぐに提供できるかどうか、それがお客様を失ってしまうかどうかの境目になると考えています。

 また、企業内の開発者がいかに高速に企業向けアプリケーションを開発できるかも重要なポイントです。この点においても、Springのフレームワークを使うことでJavaのアプリケーションを迅速に開発することが可能になります。さらに、オープンソースをベースにしたPaaS「Cloud Foundry」を使うことで、アプリケーションを迅速に展開、実行することができます。

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