日本オラクル、インメモリ技術を活用した高速分析専用機を日本で提供へ

怒賀新也 (編集部)

2012-03-27 16:40

 日本オラクルは3月27日、インメモリ技術を活用した分析専用機「Exalytics In-Memory Machine」を同日から日本市場で提供すると発表した。ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアとハードウェアを一体化し、I/OにInfiniband、分析処理にインメモリ技術を搭載することで、データベースサーバ、ネットワーク、BIを通じたデータの受け渡しで起き得るボトルネックの発生を極力抑えた。

 対象ユーザーは主に、Oracle BI 10gやDiscoverer、買収した旧HyperionのEssbaseおよび他社BIツールなどを利用する企業。例えば、大量データをダッシュボードに一度に表示できない、BI分析のバッチ処理が終わらない、SKUレベルなど詳細データを分析したい、といったケースに役立つとしている。

日本オラクルの遠藤隆雄社長は「経営戦略を実現するための武器」と新製品を表現した
日本オラクルの遠藤隆雄社長は「経営戦略を実現するための武器」と新製品を表現した

 専務執行役員で製品事業統括兼テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、企業の情報システム担当者などがiPadなどのモバイル端末を使って経営陣にデータ分析の結果を伝える際「処理が遅すぎて、経営陣を納得させられないケースが多いようだ」と指摘する。高速処理により、モバイル端末で分析結果を軽快に処理できる点も新製品の特徴だ。

 発売されたExalytics In-Memory Machineには、自律的にキャッシュを活用する仕組みを組み込んだ。その1つである「サマリー・アドバイザー」は、分析レポートの利用履歴から使用頻度の高いデータをメモリに保存するよう管理者に提案する。また、インメモリ分析用に設計されたデータベース「Oracle TimesTen In-Memory Database for Exalytics」が、カラム圧縮機能によって大量データをインメモリで保有できるようにした。複数の物理データソースにあるデータをメモリ上で統合し、高速処理することも可能だ。

「Exalytics In-Memory Machine」
「Exalytics In-Memory Machine」

 この日、1億1千万件のデータを持つ米国の自動車メーカーが自社製品の販売状況を把握するために、Exalyticsを利用するという想定でデモが実施された。デモ画面には各地の売れ行きなどのデータが表示され「東海岸でSUVの売れ行きが落ち、コンパクトカーが逆に売れている」とのデータをリアルタイムに把握できた。さらに調べると、コンパクトカーの購入者に支払われる公的な補助金の存在を確認。こうした情報が経営者の的確な経営判断を可能にし、次の施策を打つための布石になるというわけだ。

三澤氏は「450億ドルの研究開発投資をしているオラクルだからこそ出せる製品」とアピールした
三澤氏は「45億ドルの研究開発投資をしているオラクルだからこそ出せる製品」とアピールした

 Exalyticsは、BI製品群として「Oracle Business Intelligence(BI) Foundation Suite」を組み込んでいる。BI Foundation Suiteは、BIのBusiness Intelligence Enterprise editionやEssbaseで構成される。Essbaseは、Exalytics上の1テラバイトのメモリと40コアのプロセッサを活用して、為替の変動による収益の変化など、さまざまな分析処理をこなす。

 Exalyticsは、「SunFire」サーバ、1テラバイトメモリ、40プロセッシングコア「Intel Xeon プロセッサE7-4800」、40Gb/s Infinibandを搭載、10Gb/s Ethernet接続に対応する。サーバを搭載しているため、分析機として単独での利用も可能。大容量データを扱う場合はExadata Database MachineとInfinibandで連携することも可能だ。

 Exalyticsのハードウェア参考価格は1500万円。搭載される分析ソフトウェアは5000万円としている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]