日本オラクルは3月27日、インメモリ技術を活用した分析専用機「Exalytics In-Memory Machine」を同日から日本市場で提供すると発表した。ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアとハードウェアを一体化し、I/OにInfiniband、分析処理にインメモリ技術を搭載することで、データベースサーバ、ネットワーク、BIを通じたデータの受け渡しで起き得るボトルネックの発生を極力抑えた。
対象ユーザーは主に、Oracle BI 10gやDiscoverer、買収した旧HyperionのEssbaseおよび他社BIツールなどを利用する企業。例えば、大量データをダッシュボードに一度に表示できない、BI分析のバッチ処理が終わらない、SKUレベルなど詳細データを分析したい、といったケースに役立つとしている。
日本オラクルの遠藤隆雄社長は「経営戦略を実現するための武器」と新製品を表現した
専務執行役員で製品事業統括兼テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、企業の情報システム担当者などがiPadなどのモバイル端末を使って経営陣にデータ分析の結果を伝える際「処理が遅すぎて、経営陣を納得させられないケースが多いようだ」と指摘する。高速処理により、モバイル端末で分析結果を軽快に処理できる点も新製品の特徴だ。
発売されたExalytics In-Memory Machineには、自律的にキャッシュを活用する仕組みを組み込んだ。その1つである「サマリー・アドバイザー」は、分析レポートの利用履歴から使用頻度の高いデータをメモリに保存するよう管理者に提案する。また、インメモリ分析用に設計されたデータベース「Oracle TimesTen In-Memory Database for Exalytics」が、カラム圧縮機能によって大量データをインメモリで保有できるようにした。複数の物理データソースにあるデータをメモリ上で統合し、高速処理することも可能だ。
「Exalytics In-Memory Machine」
この日、1億1千万件のデータを持つ米国の自動車メーカーが自社製品の販売状況を把握するために、Exalyticsを利用するという想定でデモが実施された。デモ画面には各地の売れ行きなどのデータが表示され「東海岸でSUVの売れ行きが落ち、コンパクトカーが逆に売れている」とのデータをリアルタイムに把握できた。さらに調べると、コンパクトカーの購入者に支払われる公的な補助金の存在を確認。こうした情報が経営者の的確な経営判断を可能にし、次の施策を打つための布石になるというわけだ。
三澤氏は「45億ドルの研究開発投資をしているオラクルだからこそ出せる製品」とアピールした
Exalyticsは、BI製品群として「Oracle Business Intelligence(BI) Foundation Suite」を組み込んでいる。BI Foundation Suiteは、BIのBusiness Intelligence Enterprise editionやEssbaseで構成される。Essbaseは、Exalytics上の1テラバイトのメモリと40コアのプロセッサを活用して、為替の変動による収益の変化など、さまざまな分析処理をこなす。
Exalyticsは、「SunFire」サーバ、1テラバイトメモリ、40プロセッシングコア「Intel Xeon プロセッサE7-4800」、40Gb/s Infinibandを搭載、10Gb/s Ethernet接続に対応する。サーバを搭載しているため、分析機として単独での利用も可能。大容量データを扱う場合はExadata Database MachineとInfinibandで連携することも可能だ。
Exalyticsのハードウェア参考価格は1500万円。搭載される分析ソフトウェアは5000万円としている。