Amazon.com傘下のAmazon Web Services LLCは4月24日、これまで米国の東部地区のデータセンター(DC)を利用していたPaaS「AWS Elastic Beanstalk」を、東京地区のデータセンター(DC)上でも利用できるようにしたと発表した。これまで米国のDCを日本から利用する場合は200ミリ秒程度だった遅延が、東京のDCを使うことで数ミリ秒と50倍以上改善。規定などでデータを海外のDCに格納できない企業も利用できるようになる。
アマゾンデータサービス ジャパンの玉川憲エバンジェリスト
AWS Elastic Beanstalkをインフラとして利用することにより、通常AWSクラウドで実行環境を整える際に必要なEC2、S3、Simple Notification Service、Elastic Load Balancingなどの個別設定をする必要がなくなるという。開発者は、WebアプリケーションをAWS Elastic BeanstalkにアップするだけでさまざまなWebサービスを開始できる。
サーバ負荷増への対応やロードバランシング、オートスケーリングなどのインフラ周りの調整は自動化されているため、開発者はアプリ開発以外のことを気にする必要がないのが特徴だ。
現地点で1月にJava、3月にPHPに対応している。ソリューションアーキテクチャ本部技術統括部長の玉川憲氏は「今後Ruby、Python、.NETなどにも広げたい」としている。
簡単にアプリケーションを構築できるという
また、AWS Elastic Beanstalkの稼動環境を複数データセンターにまたがって冗長的に構成できる柔軟さもポイントだという。あえて分散したDCにまたがって仮想サーバを設定することで、地震などデータセンターのレベルで発生する障害にも対応できる。
一方で、インフラ内にあるロードバランサ、EC2で構成する仮想サーバ、S3でのログ取得、メール通知、監視などの機能も、内容が透明化されているため、利用企業は必要に応じて直接コントロールできることも利点だ。
AWS Elastic Beanstalkの料金は特に発生せず、実際に利用するAWSのリソースの料金分だけかかる。