肥後銀行はシンクライアントシステム「肥銀ターミナルサービスシステム」を刷新、本格稼働させている。日立製作所が10月10日に発表した。今回で第3世代となる。
肥後銀行は2001年から肥銀ターミナルサービスシステムを稼働。2005年に刷新した第2世代は、融資や顧客管理のシステムと連動させるなど、適用範囲を拡大させるとともに、利用ユーザー数を拡充し、行員の業務効率向上に向けたシステム改善に取り組んできた。
今回、同銀行は、システム基盤のハードウェアの老朽化や同時利用可能なユーザー数の不足など第2世代システムの課題解決と、ITコストの削減、ワークスタイル改革などを目的に、第1世代からシステムを構築している日立と共同でシステムの刷新に取り組んだ。第3世代では、システム基盤に初めて仮想化技術を活用し、全行員を対象とした約3000ユーザー分の仮想デスクトップ環境が稼働している。
第3世代では、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」のハイエンドブレードサーバ「BS2000」32台とミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage(AMS)2000」シリーズを採用して、約3000ユーザー分の仮想デスクトップ環境や周辺システムを統合している。
仮想デスクトップ環境の構築には、アプリケーション仮想化ソフトウェア「Citrix XenApp」を利用している。XenAppを稼働させるサーバ仮想化環境には「Windows Server 2008」のハイパーバイザ「Hyper-V」と日立独自のサーバ論理分割機構「Virtage」を適用し、統合運用管理ソフトウェア「JP1」で運用を管理している。
第3世代では、同時利用可能なユーザー数を従来の1600から2000に拡大させている。(“ブートストーム”とも呼ばれる)システムへの負荷が集中する8~9時の出社時間帯のログイン時間を従来の約150秒から約30秒に短縮させて、利便性を向上させている。
60秒を目標にしていたが、稼働後の実測値で30秒となっている。出社時間帯の仮想デスクトップ環境へのログイン時間の短縮は、各エンドユーザーのプロファイルをAMS2000シリーズに搭載した読込性能が高いSSDに格納して、Virtageを活用して読み出すことで実現したと説明している。
従来のシステムは、デスクトップ仮想化環境とファイルサーバ機能、プリンタサーバ機能などの関連システムを物理サーバ120台で構築していた。第3世代では、32台のBS2000の上に仮想サーバ150台を構築、物理サーバの数を約4分の1に削減している。これまで個別に運用していた特定業務用PC365台と、部門サーバなどの老朽化したサーバは今回、小型集積型のブレードサーバ「BS320」8台の上に構築したサーバ仮想化環境に集約させている。
これらの集約で、システム全体の消費電力は約40%削減した。第3世代では、コミュニケーションツールとして「Microsoft Lync」を搭載。仮想デスクトップ環境上でインスタントメッセージや在席管理、ウェブ会議などが稼働している。