IDC Japanは2月18日、2012年第4四半期(10~12月)と2012年通年のクライアントPC市場出荷実績値を発表した。2012年10~12月の出荷台数は前年同期比5.4%減の369万台となり、通年の出荷台数は前年比0.6%減の1558万台となっている。
2012年通年の出荷台数の内訳は家庭市場が754万台、ビジネス市場が804万台。家庭市場では、Windows 8が市場をけん引できなかったこと、PCの値ごろ感が出せなかったことという2つが重なって前年比6.5%減になっている。ビジネス市場は、家庭市場とは対照的に買い替えが進み、前年比5.5%増となっている。
ベンダー別動向をみると、NECレノボ・ジャパングループは発足以来、四半期ごとに全出荷台数の約4分の1のシェアを維持している。IDCの定義では、発足までをNECとレノボ、発足後はNECレノボ・ジャパングループとして区分している。2012年のベンダー別シェアは、NECレノボ・ジャパングループが1位、富士通が2位、東芝が3位、4位がHewlett-Packard(HP)、5位がDell。3~5位の間では、HPがDellを抜いて4位になっている。
2006~2012年の国内PC出荷台数と前年比成長率(出典:IDC Japan)
2012年10~12月の出荷台数では、家庭市場が前年同期比10.4%減の185万台、ビジネス市場が前年同期比0.2%増の183万台となっている。家庭市場では、新OSが発売された四半期としては、初めてのマイナス成長になったと説明。ビジネス市場では、公共を中心に買い替えが順調に進んでいることがうかがえると説明している。
2012年10~12月のベンダー別動向では、上位5社に順位の変動はなかったという。NECレノボグループの出荷台数は88万台であり、シェアは前四半期(2012年7~9月)から3.1ポイント落とし、24.0%となっている。家庭市場でのデスクトップPCが不調だったことが影響していると説明している。
富士通の出荷台数は前年同期比0.9%減の72万台。シェアは前四半期から0.7ポイント増え、19.4%となっている。ビジネス市場では公共や中小企業向けが好調であり、家庭市場のマイナス分を補うことはできなかったとしている。
東芝の出荷台数は前年同期比5.4%増の50万台。上位5社の中で唯一のプラス成長となっている。シェアは、前四半期から1.7%ポイント増え、13.6%。ビジネス市場では、教育を除くセグメントでプラス成長を達成し、家庭市場のマイナス分を補い、全体でプラス成長となっている。HPの出荷台数は前年同期比5.3%増の33万台。家庭市場でマイナス成長となり、シェアは、前四半期から0.8%減少し、8.8%になっている。
Dellの出荷台数は前年同期比11.6%減の31万台。家庭市場で大きく台数を落としたが、ビジネス市場では健闘し、シェアは前四半期から0.4ポイント増え、8.5%になっている。IDC Japanの片山雅弘氏(PC、携帯端末&クライアントソリューショングループマネジャー)が以下のようにコメントしている。
「Windows 8に起爆剤としての効果を期待したが、残念ながら不発に終わった。いまだにWindows 8の良さがユーザーに十分に伝わっていないようだ。少なくとも、わからない時にどのような操作すれば良いのか、簡単なマニュアルが必要である。早く対処しないと、“使いづらい”というレッテルを貼られる可能性もある」