本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。今週は、米MicrosoftのErwin Visser シニアディレクターと、BBソフトサービスの取締役COO、瀧進太郎氏の発言を紹介する。
「現在、Windows 7を導入展開している顧客には、特定の用途でWindows 8の利用も薦めている」 (米Microsoft Erwin Visser シニアディレクター)
日本マイクロソフトが11月29日、Windows OSの最新版「Windows 8」の法人向けの取り組みについて記者説明会を開いた。冒頭の発言は、来日した米国本社のWindows Business GroupでWindows Commercial担当シニアディレクターを務めるErwin Visser(アーウィン・ヴィッサー)氏が、会見の中で法人顧客に向けてWindows 8の早期導入を促したものである。
米MicrosoftのErwin Visser シニアディレクター
会見で説明に立ったVisser氏はまず、「Windows 8は、多様なデバイスをネットワークに常時接続でき、ビジネスでもプライベートでも同じデバイスを利用したいというニーズに対応して開発したOSだ。したがって、プライベート向けとともにビジネス向けにも最適なOSとして妥協のない設計を施している」と強調した。
同社によると、Windows 8は10月26日に発売後、国内市場では11月28日時点で13社のデバイスメーカーが法人向けに適した同OS搭載製品を提供。Windows 7環境で動作していた法人向けデスクトップアプリケーションについては1102本がWindows 8でも動作し、94本が認定を取得。認定取得アプリケーションの数は、Windows 7リリース時に比べて2.7倍になっているという。
会見内容の詳細については、すでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、筆者が注目したのは、Visser氏が「Windows 7とWindows 8の互換性はもちろん、混在した環境で利用できるので、企業の投資を無駄にすることがない」と幾度も強調していたことだ。
しかも冒頭の発言のようにWindows 8の早期導入を促し、「特定の用途とは、例えばタブレット端末の活用やセキュリティシナリオに基づく利用形態がお薦めだ」と熱心に説明していた。
Visser氏がこうした説明に力を入れるのは、裏を返せば危機感の表れともいえる。それというのも「Windows 7と比べてユーザーインタフェースをはじめ、OSの根幹部分に大きな変更がなされたWindows 8はOSの大きな変化を望まない法人ユーザーにとってはリスクが高く、採用には慎重になる可能性がある」(米Gartner)といった見方もあるからだ。