マイクロソフトがWindows 8の企業利用に注力--都内に検証ラボを開設

怒賀新也 (編集部) 2012年11月30日 18時30分

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 日本マイクロソフトは11月29日、都内で記者説明会を開催し、10月26日に発売したOS「Windows 8」を搭載したタブレット端末の企業利用を促進するための取り組みや導入事例を説明した。この日からWindows 8タブレットで稼動するアプリケーションの動作を検証するラボを2013年3月末までの期間限定で設置、運営することも明らかにしている。

 発表したラボの名前は「Windows 8 アプリ検証ラボ」。各種法人向けWindows 8 Pro搭載モデルとWindows RT搭載タブレットデバイスを設置し、タッチ操作やペン入力を伴うWindows 8向け業務アプリを検証する環境を提供する。Active Directory、SharePoint、Lyncなどのオンプレミス環境も用意している。

 ラボを利用することで、開発パートナーはデバイスでのアプリの動作確認、パフォーマンス検証、クラウドサービスなどとの連携も検証でき、Windows 8向けアプリを早期に市場展開できるようになるという。日本マイクロソフトは、3月までに40案件の利用を見込む。

タブレットとキーボードの両インターフェースへの対応に評価が集まる

 検証ラボの開設と併せ、Windows 8の企業利用についてユーザー動向やパートナーシップの現状も紹介された。

Windows Business Group Windows Commercial担当シニアディレクター、アーウィン・ヴィッサー氏
Windows Business Group Windows Commercial担当シニアディレクター、アーウィン・ヴィッサー氏

 Windows 8タブレットの海外の早期導入企業として紹介されたのが、英British Telecom(BT)だ。BTは、顧客先でシステムの保守などを実施する8000人に上るフィールドエンジニア向けに、パナソニック製のWindows 8タブレットを展開。キーボード入力とタッチパネル入力の両方ができるコンバーチブルタブレットを導入することで、場面ごとに適したインターフェースが選べるようになり、フィールドエンジニアの全体の生産性が上がったという。

 60秒という端末起動時間や仮想スマートカードによる利便性、セキュリティの高さも、BTは評価しているという。仮想スマートカードは、ログオン認証や電子メールの署名と暗号化などができるもので、セキュリティを強化できる。

 もう1社はEmirates航空だ。客室乗務員と乗客をHP製端末上のタッチパネル対応アプリで管理できるようにした。外付けUSBデバイスからブートやOSを実行できるようにする「Windows To Go」を利用したのが特徴だ。

 Windows To Goは、システム管理者が自社仕様のデスクトップなどをユーザーに配布できるようにするもの。Emirates航空は、Windows To Goを活用することで、自社の業務に沿ってつくり込んだシステム環境を簡単に配布できた。結果として、社員の教育コストなどを抑えることができたという。

 来日した米MicrosoftのWindows Business Group Windows Commercial担当シニアディレクター、アーウィン・ヴィッサー氏はWindows 8タブレットの端末としての強みを「パソコンのパワーを持っていること」と話した。

 企業がタブレットを活用する際は、ウェブ閲覧などにとどまらず、場合によってはネットワーク越しにERPのデータと連携するようなケースも十分考えられる。iOSやAndroid版のタブレット端末と比較したときに、PCのスペックを持っている点が強みになる場面は多いと考えられる。

パソコンのパワーを持つタブレットに期待

 ビジネスとの親和性が比較的高いWindows 8タブレットに、日本の早期導入ユーザーやパートナーも注目している。

 日本における早期導入企業の1社が三菱電機インフォメーションシステムズだ。最近までエンジニアが入力用にPC、閲覧用にタブレットと2台を持ち歩いていた。BTと同様に、キーボードも備えるWindows 8タブレットにすることで、デバイスを1台に統合できるようになったという。

 このほか、KDDI、飛島建設、NEC、EPSON、大分県教育委員会、十文字学園女子大学など多くの企業が早期導入プログラムに参加した。KDDIは、既存のActive Directoryとクライアント管理の「System Center Configuration Manager」をWindows 8タブレットと連携させることで、タブレット単体だけでなく、人と人および情報をつなぐツールとして利用し、コミュニケーションの活性化と情報共有の推進を図る考えだとしている。

 日本マイクロソフトは11月1日、法人向けのタブレット分野での協業を発表。ドコモのLTEサービス「Xi」とWindows 8タブレットを組み合わせ、共同プロモーションを仕掛けることを明らかにした。共同営業で既に、3社に計3000台以上のWindows 8端末導入を果たすなど、法人向けビジネスに本腰を入れる。

 パートナービジネスにも注力する。法人市場向けデスクトップアプリ分野では、弥生、ソリマチ、トレンドマイクロ、シマンテック、応研、PCA、アイル、OBC、MOTEXなど94のアプリがWindows 8との互換性において認定を取得している。

 一方、モバイル分野を中心とするWinRTアプリの提供パートナーとして、インフォテリア、内田洋行、SCSK、エフワン、三三、ジェーエムエーシステムズ、シトリックス・システムズ・ジャパン、セカンドファクトリー、ソリマチ技研、ビジネス・アーキテクツなどが紹介されている。

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