IDC Japanは11月27日、2012年上期(1~6月)の実績調査をもとに国内クライアント仮想化市場を分析、結果を発表した。2012年の国内クライアント仮想化ソリューション市場は前年比51.4%増の3794億円規模を見込んでいる。2011~2016年の年平均成長率(CAGR)は21.6%で、2016年の市場規模は6666億円と予測している。
2012年の法人向けクライアント端末の仮想化導入率は20.2%、2016年には40.4%まで達すると予測している。2013年に法人向けPC買い替えサイクルのピークを迎え、2014年にはWindows XPのサポート切れという2つの大きな契機で、ユーザー企業はクライアント端末とOSを含むクライアント環境を再検討するとみている。
そのユーザーの一部が、シンクライアントやクライアント仮想化へ移行していくとしている。2012年下半期(7~12月)から、法人向けクライアント環境での仮想化の実装は徐々に高まっていくと考えている。
国内クライアント仮想化ソフトウェア市場の2012年上半期の出荷ライセンス数は前年比35.2%増の60万ライセンス。2012年通期では、前年比37.1%増の129万ライセンス、2016年には227万ライセンスまで増加すると予測している。2011~2016年のCAGRは19.3%と予測。同期間のデスクトップ仮想化のCAGRは38.7%で推移し、2016年には112万ライセンスに達し、クライアント仮想化の中で49.3%を占めるとみている。

2011~2016年の国内法人向けクライアント仮想化市場の導入率予測(クライアント端末はPCやシンクライアント専用、ターミナルクライアントを含む。2011年は実績値、2012年以降は予測。出典:IDC Japan)
2012年上半期の国内シンクライアント専用端末の出荷台数は、前年比72.9%増の17万台。2012年通期では前年比81.4%増の37万台、2016年には59万台に達し、ターミナルクライアントやシンクライアント化端末と合わせて68万台を超えるとみている。シンクライアント専用端末の2011~2016年のCAGRは18.7%と予測。各ベンダーから低価格で使いやすいゼロクライアント端末が市場に投入されていると説明している。IDC Japanの渋谷寛氏(PC, 携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリスト)は以下のようにコメントしている。
「シンクライアントやクライアント仮想化は、ITのインフラストラクチャを変更するパラダイムシフトだ。ユーザー企業はITを企業戦略やビジネスに活かせるかどうかが、今後の収益拡大に大きく影響する。そのため、業務とITを熟知し、ITと経営を融合させることが求められている」