IDC Japanは7月23日、国内クライアント仮想化市場の動向を発表した。5月のユーザー調査をもとにした結果で、導入を進めるユーザーと関心を示さないユーザーの二極化が進んでいると分析している。
調査によると、クライアント仮想化導入率は、本格導入実績が13.5%、試験導入実績が4.8%、導入予定が2.8%、導入検討中が9.9%だった。2011年と比較すると、本格導入と試験導入を合算した導入率は7.6ポイント高まっている。一方で「関心なし」とするユーザー企業の割合は40%を超え、2011年から増加した。この結果から、IDC Japanでは二極化が進んでいると分析している。
2011年の調査結果と比べると、すべての産業分野、従業員規模において、導入率は高くなっている。産業分野別では1位が金融で、本格導入と試験導入を合算した導入率は30%を超えた。以降、情報サービス、製造、流通/小売/卸売が続く。従業員規模別では、従業員規模に比例して導入率は上昇しており、特に1万人以上の企業では本格導入だけで30%を超えているという。
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導入目的では、2011年と2012年を比較すると上位3項目は変わらず、ともに「運用管理の効率化」「セキュリティ対策」「システム可用性の向上」という結果だった。ただし、1位と2位の「運用管理の効率化」「セキュリティ対策」の回答率が下がり、3位の「システム可用性の向上」の回答率が増加。上位3項目を重視する度合いがより平準化されてきたとしている。また、下位項目の「事業継続性/災害対策」「アジリティ」「ワークスタイル変革」「ビジネスモビリティ」は、2011年よりも増加しており、上位3項目以外においても導入目的の重要度の差がより縮小しているという。
経営層とIT管理者の導入目的を比較すると、「アジリティ」「ワークスタイル変革」「ビジネスモビリティ」などについては、いずれも経営層がIT管理者よりも重視している結果だった。
IDC Japanの渋谷寛氏(PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリスト)は、「クライアント仮想化市場は技術の進化と適応業務の増加によって、大きく拡大している。2012年はキャズム超えの正念場となるであろう」とコメントしている。