“ポストPC時代”のデスクトップ環境とは
この1、2年でエンドユーザーのコンピューティング環境は大きく変わった。
業務アプリケーションをクラウド環境で利用するケースが増え、企業の内と外とで同じように業務をこなすことができるようになった。アプリケーションにアクセスする端末もノートPCばかりでなく、iPhone、iPad、Android端末といったモバイルデバイスでの利用が急速に広まった。特に国内では昨年3月の東日本大震災以降、事業継続性などの観点から、いつどこにいても業務を行えるようにユーザーのコンピューティング環境環境を見直そうという企業が増えている。
注目したいのは、そうしたユーザー側の環境変化と歩調をあわせるように、ベンダーが提供するソリューションも大きな進歩を遂げている点だ。なかでも顕著と言えるのが、デスクトップ仮想化(Virtual Desktop Infrastructure)の分野だろう。
昨年デスクトップ仮想化ソフトの新版「VMware View 5」をリリースした米VMwareでプロダクトマーケティング エンドユーザーコンピューティング ディレクターを務めるラージ・マレンパティ(Raj Mallempati)氏は、同製品の特徴をこう語る。
VMwareのラージ・マレンパティ氏
「クラウドコンピューティングやモバイルへのシフトといった“ポストPC時代”に適した製品として機能を強化した。具体的には、帯域幅の消費量を最大75%削減し、WAN環境での利用が容易にしたほか、ソフトフォンとの統合、3Dグラフィクスのサポート、SaaSへの容易なアクセス、複数のモバイルデバイスへの対応といった点だ」
デスクトップ仮想化はこれまで、デスクトップPCを仮想化し、サーバ側で集中管理することで、コスト削減とセキュリティ確保を図るためのソリューションとして導入されることが多かった。利用シーンとしても、コールセンターのオペレータ端末や教育機関での学生向け端末、自治体の職員向け端末など、特定業種に限られていたと言える。
だが、ここにきてモバイルデバイスやクラウドサービスへの対応が進められたことで、一般企業のエンドユーザーがデスクトップPCの代わりに日常的に利用できるソリューションに様変わりしているのだ。
「特に日本はモバイルデバイスについて先進的な取り組みを行っている。iPadを使った仮想デスクトップの利用のほか、ゼロクライアント、ソフトフォンとの統合など、ワークスタイルそのものを変革している例がある」
同氏は、具体的に次のようなユースケースを紹介する。