仮想化をベースとしたクラウドコンピューティングのテクノロジ、そしてコンシューマライゼーションが導く、次世代のITインフラの姿はどのようなものか――。ヴイエムウェアは9月15日に、8月末に米国で開催されたプライベートカンファレンス「VMworld 2011」での発表内容を説明した。
ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏によれば、米国で開催されたVMworld 2011への来場者数は約1万9000人。「今年は日本から200人の参加者があった。この人数は昨年の倍にあたり、日本からの注目度も高まっていると感じた」と話す。
VMwareではITの「インフラ」「プラットフォーム」「エンドユーザーコンピューティング(EUC)」の3つのレイヤについて、それぞれの基盤や運用管理をモダナイズ(現代化)していくために製品を強化し続けていくという戦略を示しており、VMworld 2011でも、その戦略に沿った新製品やパートナーシップの強化が発表された。
「ポストPC時代」の要はアプリケーション管理
来日した米VMwareエンドユーザーコンピューティング担当副社長兼ゼネラルマネージャのChris Young氏は、主にEUCレイヤでの同社の戦略を説明した。
Young氏はタブレットやスマートフォンなどの普及で、PC以外からへのシステムへのアクセスニーズが急増していることに言及。モバイルアプリの市場も拡大している点にも触れ「この状況はITプロにとってジレンマを生む」とした。
エンドユーザーがスマートフォンやタブレットなどの使い慣れた端末から企業システムにアクセスし、アプリケーションを使いたいと考えるコンシューマライゼーションの流れに対し、ITプロ、つまり企業のシステム部門は、いかにユーザーの要求に応えつつ、対応のためのコストを削減し、ユーザー環境を統制するかといった検討を行う必要に迫られる。
「エンタープライズでもWindows PCだけで仕事が済んだ時代は終わりを告げようとしている」(Young氏)
デスクトップ仮想化ソフトウェアの新版として、帯域幅の削減や対応業務範囲の拡大を果たした「VMware View 5」、アプリケーション管理と配信のフレームワーク「VMware Horizon」、モバイル端末上で個人の環境とビジネス用の環境を切り分けてアプリケーションを配信/管理できる「Horizon Mobile」などは、こうした「ポストPC時代」におけるシステム管理のカギとなる製品群だ。
今回、技術プレビューとして発表されたのは「Project AppBlast」そして「Project Octopus」の2つである。
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2012年にリリース予定のAppBlastは、HTML5をベースとした標準技術を用い、ブラウザから特定のアプリケーションにアクセスできるようにするもの。HTML5に対応したブラウザ環境をアプリケーションのフロントエンドとして利用できるようになるという。
一方のOctopusは、あらゆる端末上で更新されるデータの同期と共有をセキュアに行うための仕組みだ。遠隔からの端末内データの消去やポリシーベースのアクセス管理、ログ監査といった統制のための機能も用意される。
「“ポストPC時代”のEUCプラットフォームを考える際には、これまでとは違う新しいアプローチが必要になる。VMwareのビジネス機会は、こうした状況での顧客のシステム管理をサポートするところにある」(Young氏)