シトリックス・システムズ・ジャパン(シトリックス)は2月24日、同社の2012年におけるビジネス戦略の説明会を行った。
同社代表取締役社長のMichael King氏は、まず2011年における同社のトピックとして、3月11日に発生した東日本大震災後の復興支援活動に積極的に取り組んだ点に言及。また、ワールドワイドでは「GoToサービス」として展開しているオンラインサービス事業(日本語版は未提供)が躍進し、対前年比で18%の成長、4億2700万ドルの売上を達成したとした。
シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長のMichael King氏
仮想デスクトップ配信フレームワークの「XenDesktop」については、ユニバーサルクライアントである「Citrix Receiver」が、iOS、Androidデバイス、Mac OS、Windowsなど幅広い環境向けに提供されていることで、現在「15億のデバイスに対応」している点を強調。三菱東京UFJ銀行、北洋銀行、大和総研といった導入ユーザーの名を挙げ、「2011年は日本でもデスクトップ仮想化の導入が大幅に加速し、メインストリームとなった感がある」(King氏)と述べた。
さらに2011年には、Kaviza、Cloud.com、ShareFile、AppDNA等、多数の企業を買収した点に触れ、これら買収企業の技術や製品の統合が急速に進んでいる点を強調した。
「クラウド時代」の情報システムの姿
シトリックスでは、ここ数年を通じて「PC時代から、クラウド時代への移行」というメッセージを継続的に発信しており、新たな「クラウド時代」の情報システムを構築するためのビルディングブロックをまんべんなく提供していくという製品戦略をとっている。
クラウド時代においては、企業の従業員が働く場所が従来のオフィスのデスクから、さまざまな場所へと広がり、デバイスもPCからモバイル、有線ネットワークから無線ネットワーク環境へと移行していくとする。また、企業のIT環境も、機器を購入して自社内で組み上げていく環境から、社外に存在する多様なクラウドサービスをアレンジし、自社内に存在するアプリケーションとともに「サービス」として、従業員それぞれの環境へと「配信」するものになるとしている。
King氏は「あらゆる種類のモバイルデバイスと、あらゆるタイプのクラウドを構成する要素、さらにデバイスとクラウドとの間で、アプリケーションをサービスとして配信するためのソリューション」を提供し、そのことによって「従業員の生産性を大幅に向上させる」「ビジネスに俊敏性、ITシステムに柔軟性を提供する」「ワークライフバランス、創造性、社会との調和を生む環境の実現」が、シトリックスの目指すところであるとする。
これを踏まえての2012年における同社の戦略は、「デスクトップ仮想化とモバイルワークスタイルにおけるリーダーシップの拡大」と「クラウドサービスの強化」、そしてユーザーコミュニティの拡充による「顧客、パートナーへの価値の向上」だとした。