「デスクトップ仮想化の推進」を目指すシトリックスが2012年の製品戦略を発表 - (page 2)

柴田克己

2012-02-24 18:45

デスクトップ仮想化導入を容易にする新製品群を投入

 デスクトップ仮想化におけるリーダーシップ拡大の点では、4月1日に発売する「Citrix VDI-in-a-Box」と、下半期に提供予定の「Citrix AppDNA」が重要な製品として位置づけられている。

 VDI-in-a-Boxは、主に中堅中小規模企業向けのデスクトップ仮想化導入パッケージ。主に100〜1000ユーザー規模で仮想デスクトップ環境を導入するにあたって必要な機能をオールインワンで提供するもので、2011年5月に買収したKavizaの製品がベースとなっている。またAppDNAは、既存のWindows環境から仮想環境へ移行するために必要な、アプリ資産の棚卸し、移行プランの策定、アプリケーションのパッケージングと管理の自動化を提供するソリューションである。これら、デスクトップ仮想化へのスムーズな移行を支援する製品を拡充することで、より一層の導入を進めたい考えだ。

 また、アプリケーション環境の移行については、現在「XenApp 6.5 Mobility Pack」と「Mobile Application SDK for Windows」と呼ばれるツールの提供を計画しているという。これらは、現在Windowsデスクトップ向けに構築されている業務アプリケーションを、配信先となるモバイルデバイスで使いやすい形に再構築するためのツール群となる。

同社マーケティング本部 本部長の伊藤利昭氏
同社マーケティング本部 本部長の伊藤利昭氏

「これらのツールを利用すると、マウスとキーボードによる操作が前提となっている既存のWindows対応アプリを、タッチベースの操作が容易なモバイル環境対応のアプリへと容易に再構築できる。SDKを利用することで、モバイルデバイスが固有に持っている機能へのアクセスも可能になる」(マーケティング本部 本部長の伊藤利昭氏)

 こうしたツールの提供により、既存のアプリ資産を生かしつつ、XenDesktop、XenAppとCitrix Receiverとの組み合わせによる環境への移行に拍車をかけることを狙う。また、多様なモバイル環境からアクセスされるデータの管理、共有を行うためのフレームワークである「Follow-Me Data」についても、2012年下半期の提供を目指す。

 一方、「クラウドサービスの強化」という観点では、サービスデリバリネットワーク構築のためのアプライアンスである「Citrix NetScaler」について、オンデマンドでの利用が可能な「クラウド対応版」を提供するほか、クラウドサービス構築基盤の新バージョンとなる「CloudStack 3.0」のリリースを行う。NetScalerのクラウド対応版、CloudStack 3.0の双方とも、2012年第1四半期の提供が予定されている。

「シトリックスの強みであるデスクトップ仮想化は、アプリケーションをどこからでも使えるようにするための技術。今後の企業システムにおいて、情報系は新規開発もしくはクラウドサービスを利用し、業務系は既存資産を生かす形で仮想化して、デバイスに配信するというスタイルを推進していく。一方のクラウド側では、従来のような所有のモデルではなく、必要なサービスを組み合わせて変化に柔軟に対応できる、コスト効率の高い利用モデルへの移行を進めていく」(伊藤氏)

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