IDC Japanは3月26日、国内中堅中小企業のユーザー調査の結果を発表した。調査は1月に実施した。
2013年度のIT支出予算について、2012年度から「増加する」と回答した割合は39.7%、「減少する」と回答した企業の割合17.1%を上回った。これまでIT支出に慎重だった中堅中小企業でも、積極的なIT支出を行う企業が増加傾向にあることが分かったと説明している。
2013年は、海外経済で不透明な状況が継続しているが、2012年12月に成立した政権による積極的な経済政策、いわゆる“アベノミクス”の効果で円安や株式市場の好況など、国内経済に明るい兆しが見えている。
こうした背景から、多くの中堅中小企業で2013年度のIT支出拡大を検討する企業が増加しており、2014年度以降も同様に「増加する」と回答した企業が「減少する」と回答した企業を上回っていることから、国内の中堅中小企業のIT市場は比較的堅調に推移するとみている。
それぞれの従業員規模や産業分野、地域でも同様の傾向という。今後のアベノミクスの動きによっては、IT支出動向に大きな影響があることから注視が必要としている。
IT支出の重点項目では、2012年度で「情報漏洩対策」といったセキュリティ関連のほか、これまで凍結されていたシステム案件を再開した企業が増加。「社内情報共有」「社内ネットワークの強化や高度化」「基幹系や勘定系の刷新や改修」の優先度が高くなっている。
2013年度は「情報漏洩対策」に加えて「ID/アクセス管理強化」「脅威管理強化」などセキュリティ関連の優先度がさらに上がっている。加えて「ビジネス継続性や災害対策」「ERPなどバックオフィス系システムの導入、刷新」の優先度も2012年度から上がっている。
中堅中小企業の多くは、売上拡大といった業績改善に関する経営課題を抱えている。一方でITを活用した課題解決への期待度は比較的低かった。今回の調査では、ITを活用した業績改善に関する課題解決への期待度が高まっていることが分かったと説明。IDC Japanの市村仁氏(ITスペンディンググループシニアマーケットアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「ITベンダーは、中堅中小企業でITを活用した業績改善への期待度が高まっていることから、顧客管理システムなどを積極的に提案することが今後のビジネス拡大のために求められる」
2013~2014年度のIT支出予算増減率(出典:IDC Japan)