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何がクラウドの普及を妨げているのか?--中堅中小企業のIT投資実態

田中好伸 (編集部)

2012-01-10 19:22

 ノークリサーチは1月10日、中堅中小企業での2012年以降のIT投資の実態を調査した結果を発表した。調査によると、製造、卸売り、運輸でのIT投資は比較的堅調に伸び、小売りでは店舗展開投資を重視するという。

 調査は年商5億円以上500億円未満の中堅中小企業が主な対象。これらの企業での2011~2015年のIT投資の年平均成長率(CAGR)は2.1%だが、年商や規模によって傾向がさまざまという。

 年商5億円以上30億円未満の企業では、CAGRがマイナス0.9%と減少する。要因としてはクラウドの活用でハードやソフトがサービスに移行する影響よりも、ハードとソフトの更新サイクルの長期化による面が大きいと分析している。

 ハードの高性能化と低価格化、ソフトの成熟化、OSなど基本ソフトのバージョンアップサイクルの長期化といったベンダー側の要因があるためと説明している。年商5億円以上30億円未満の企業では、経済環境の激しい変化への追随が難しいことから、IT関連費用をできる限り抑えて、現行システムをなるべく長く利用する傾向が生まれやすいことも影響しているという。

 年商300億円以上500億円未満の企業では、年商500億円以上の大企業と同様に、企業の買収合併や事業拠点の統廃合といったビジネス面での変化、その際のシステム統合手段としての仮想化やプライベートクラウドの活用が要因となって、システムの集約が進んでいくとみている。仮想化やプライベートクラウドといった取り組みは、ITコストの削減につながることから、IT投資規模はほぼ横ばいとしている。

 年商が30億円以上50億円未満、50億円以上100億円未満、100億円以上300億円未満という3つの年商帯では、比較的高いCAGRを示している。この3つの年商帯の場合、会計、販売購買、生産、人事給与といった基幹系業務システムを中心に、自社業務への適合などを課題とする試行錯誤がいまだに続いているという。

 今後の新たな市場開拓を目指した海外展開への取り組みも盛んとしている。クラウド活用でも、既存システムの現状把握が十分ではなく、大企業のように全社規模でITコストを大幅に削減するためのクラウド活用には踏み出しにくいと分析。これらの結果から、既存システムの改善や刷新では自社内運用(オンプレミス)とクラウド活用が混在し、年商300億円以上500億円未満のようなITリソースの集約がスムーズに進まないという。

 そのため、IT投資の負担は依然として大きく、ほかの年商帯と比べた時の高いCAGRを示す結果になっていると説明している。だが、ユーザー企業としてはIT投資負担を軽減したいという意向が常に存在しており、より安価で確実な手段を模索していることを踏まえておく必要があると提言している。

 業種別にみると、IT投資は大きく異なってくる。組立製造業や加工製造業は円高や新興国との競争など厳しい状況にあるが、海外展開に伴うIT投資、生き残りをかけた生産体制の効率化や拡大のための採算管理システム投資への取り組みが活発になるだろうと予測している。

 建設業では、震災の復興需要が期待される。だが、がれき処理が停滞していることに加えて、公共事業の減少、入札額の下限に近い金額での受注が慣例化することからの下請業者への値下げ圧力といった、従来から続く恒常的な要因から、IT関連までの投資の余裕がない状況が続いていると説明している。

 卸売業では、消費者嗜好の多様化、食中毒事件、原発事故による放射能の影響を踏まえた食品流通での安全性確保、自然災害や新興国での消費拡大を受けた原材料の高騰など取り組むべき課題は多岐に渡っている。こうした課題に対処するための流通関連システムへの投資が必要となっている。これが卸売業の高いCAGRの要因になっていると指摘している。

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