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何がクラウドの普及を妨げているのか?--中堅中小企業のIT投資実態 - (page 2)

田中好伸 (編集部)

2012-01-10 19:22

 小売業では現在、スマートフォンを端末にしてソーシャルサービスやGPS機能を活用して顧客を獲得する取り組みが盛んだ。だが、こうしたIT活用は、小売業者自身のシステム投資が少なく、消費者が所有する端末と、小額もしくは無償で利用できるサービスを組み合わせて実現できてしまうものが多い。

 投資余力のある小売業者では、基本的にシステム投資は一巡しており、売上拡大の施策として実店舗の拡大に注力する傾向が強い。そのため小売業の場合、IT投資への優先度が相対的に低くなり、結果としてCAGRは微減になるとしている。

 運輸業を見ると、中東情勢の影響から原油高への懸念、荷主からの値下げ圧力など厳しい状況が今後も続くとされている。だが運輸業では、GPSやクラウドを活用した走行情報管理による配車効率、燃費効率の向上への取り組み、無線LANやRFIDタグを利用したピッキング作業の効率化など、利益を捻出するためのITを活用した取り組みが予想されると指摘している。

 サービス業のCAGRはほぼ横ばいという。だが、サービス業は業態が多種多様であり、地域特性に応じた事業所を展開するケースも少なくない。このことからIT投資の傾向もさまざまとしている。サービス業全体ではIT投資の規模はほぼ横ばいで推移するが、細かくみていくと、IT投資に積極的な業態とそうではない業態がある。ITを提供する側としては、自社で提供できる商材と詳細な業態のニーズをマッチングさせることが重要と提言している。

 中堅中小企業のIT投資をハード、ソフト、サービスという3つの商材で見ると、短期間で大きく変化するという状況にはないことも明らかになっている。

 中堅中小企業の多くはすでに何らかのシステムを持っている。既存のソフトやハードがサービスに代替されるためには、既存システムからの移行が不可欠となる。だが、一気にすべてを移行することは困難であり、部分的な移行でも自社内とクラウドをまたいだシステム連携や個別カスタマイズの反映など、技術面の課題も多いと指摘されている。

 つまり、ユーザー企業という立場で見ると、既存システムをクラウドに移行するだけの明示的メリットが見いだせない状況にあるという。会計やビジネスインテリジェンス(BI)など一時的にITリソースを多く必要とする分野では、単なるコスト削減ではないメリットが期待できるが、特定の業務場面に限ったクラウド活用が広く普及するには、まだ数年単位での時間を要すると予想している。

 中堅中小企業を支援する販社やSIerの意向も要因と指摘している。中小規模の販社やSIerは従来型のハード販売やシステムの開発運用がまだ主体であり、クラウドを活用したビジネスへの転換は容易ではないという。顧客企業に対して新しい商材を提案するのを躊躇するケースも少なくないとしている。こうしたことから、ユーザー企業のクラウドに対する啓蒙を遅らせる要因のひとつになっていると分析している。

 ノークリサーチでは、こうした実態を踏まえつつも、業種や業態に特化したクラウドサービスの登場、社内の既存システムからの移行におけるノウハウの蓄積などでサービスへの投資額は今後徐々に増えていくと予測している。中堅上位企業での国際会計基準(IFRS)への取り組みや製造業での生産管理システムの改善も見込まれ、それがソフトの投資額増加要因になると指摘している。

 ハードについては、性能向上と比べた場合の価格低下などの要因から、サービスやソフトと比べるとCAGRはやや低くなるとしている。全体に占めるハードの割合が急激に低下するわけではないという。年商300億円以上500億円未満の中堅上位企業でのプライベートクラウドの自社内構築、年商5億円以上50億円未満の年商帯で簡易なシステム導入といった多様な用途に応えるアプライアンスの需要なども重要としている。

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