クラウドはさまざまなメリットをもたらすが、新しいリスクを背負う可能性もある。その一つがデータの消失だ。先日起きたレンタルサーバ事業者のファーストサーバが起こした障害は、そのことをまざまざと見せ付けている。
障害を受けてラネクシーは、「クラウド移行の現状と、そこに潜むリスクとは?」と題するアンケートを行い、その結果を明らかにしている。バックアップとクラウドをテーマにした。
バックアップについては、ほとんどの企業がファイルバックアップを行っていると回答。ファイルバックアップはファイルデータの保護という意味合いが強く、システムの障害が起きた場合においては、対応しきれないと説明している。
システム全体の保護や、復旧までの時間と工数を削減するために、ファイルバックアップに加え、イメージバックアップを実施している企業も多いという結果も明らかになっている。イメージバックアップは、OSやアプリケーション、各種設定を含めたシステムのバックアップとリストアができ、ファイルバックアップで課題となっていた復旧までの工数と時間の短縮を実現できるとしている。
先進的な企業の中には、継続的データ保護(CDP)やレプリケーションなどを実施して、災害対策まで踏み込んでいる企業もあるが、まだ一部の企業にとどまっていると分析している。
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クラウドへの移行状況を見ると、基幹系システムでは従業員規模100人を境に移行が進んでいると説明。中堅から大規模の企業の1~2割程度の企業は、すでに基幹系システムでクラウドを活用しているという。
中堅規模以上の企業だと、全国に分散している拠点からクラウドを活用できるメリットを享受できることが大きな要因と分析。コストとセキュリティ、利便性を兼ね備えたクラウドを積極的に採用し始めていると説明する。
その一方で、中小規模企業のクラウドへの移行は進んでいないという。中小規模の企業では、拠点数もさほど多くはなく、移行するメリットを見いだせていないと背景を説明。加えて中小規模の企業に最適なクラウドがまだ浸透していない理由も考えられると解説している。
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情報系システムのクラウド移行では、基幹系システムとは大きく異なった結果になっている。企業規模によらず、2~3割程度の企業がクラウドへの移行を完了させている。中小規模の4割程度がすでにクラウド移行を済ませている。
この結果から、基幹系に比べて、情報系はクラウド移行の障壁が低いと示唆。情報系については、以前からASPベンダーからサービスが提供されていたことに加えて、ISPなどが無償サービスを拡充していることで、基幹系よりも導入しやすい環境が整ってきたと説明している。
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