日本マイクロソフトは2月下旬、同社のクラウドサービスである「Office 365」を大幅にリニューアルし、クライアント型のクラウドアプリケーション「Office 365 ProPlus」の提供やソーシャル機能の拡充に取り組むことを明らかにした。
ライセンス体系も一新し、大企業だけでなくSMB(中堅中小企業)にも導入しやすいプランが用意されているほか、1ユーザーあたり最大5台までの端末を利用できるなど、デスクトップだけでなくタブレットやスマートフォンからの利用も考慮した。

MicrosoftでSMB担当バイスプレジデントを務めるトーマス・ハンセン氏
実はOffice 365のリニューアル発表の2日前、マイクロソフトは国内SMB企業6社によるOffice 365の事例を発表した。
国内でのOffice 365導入事例は日本航空や丸紅、カルチュア・コンビニエンス・クラブのような大規模事例が目立っていたが、「今後は日本国内のSMB事業者にOffice 365の良さを積極的に訴求していきたい」と米MicrosoftでSMB担当バイスプレジデントを務めるトーマス・ハンセン(Thomas Hansen)氏は意気込む。
今回、ハンセン氏にSMB企業に対するOffice 365戦略について伺う機会を得たので、これを紹介したい。
――新しいOffice 365を一言で表現すると、どんなものですか。
世界で広く使われているオフィスツールの最新版を、クラウドアプリケーションとして誰もが利用できるもの、これが新しいOffice 365です。われわれは「最新版は最高版」という方針でソフトウェアを開発し、提供しています。
――一番のポイントはOffice 2013と同等の機能を提供するOffice 365 ProPlusでしょうか。
Office 365 ProPlusでは、Word、Excel、PowerPoint、Outlookといったおなじみのアプリケーションから、Lync、OneNote、InfoPathといったコラボレーション機能まで、ストリーミング配信によりすべて自動的に更新されます。
デスクトップ版のOfficeとの共存も容易にできます。1人あたり最大5台のデバイスで自由に使えるので、場所や状況に応じて好みの環境/デバイスで作業できます。よく使うテンプレートなどもデバイスをまたいで共有できます。新しいOffice 365は、Office 2013と同等の機能を提供するというよりも、Officeの活用範囲をクラウドでさらに広げたものだといえます。
――Office 365の国内事例を見ると、日本航空(JAL)や丸紅、カルチュア・コンビニエンス・クラブなどの大規模事例がこれまで目を引いていた印象があります。大企業がOffice 365を導入したことで、コミュニケーション/コラボレーションコストを大幅に削減できたイメージが強いのですが、今後はSMBにも注力していく方針なのでしょうか。
世界で見た場合、Office 365の事例のうち90%以上はSMBです。先日も新たに世界で25万社が採用企業としてリストに挙がりました。進捗率や伸び率を見ると、Office 365はSMBから高く評価されています。
日本では、大企業のJALが経営再建の一環としてOffice 365を導入したことは確かに大きな話題になりましたし、われわれもこうした大規模で社会的意義のあるプロジェクトに関われたことを嬉しく思っています。