インメモリデータベース「SAP HANA」で企業システム刷新を呼びかけるSAPが、HANAをまた一歩進化させた。SAPはHANAのビックデータ対応として、Intelが発表したHadoopディストリビューションのサポートを2月末に発表した。
これにSAPのモバイル戦略が交わることで、ビックデータをリアルタイムにモバイル端末で活用できるソリューションをつくれるという。HANAのビックデータとモバイル戦略について、スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2013」で、同社ビックデータ担当グローバルトップのDavid Jonker氏に聞いた。
ビックデータ担当グローバルトップのDavid Jonker氏
--企業におけるモバイル対応や戦略はどのぐらい進んでいるのか。SAPはどのようなソリューションを提供するのか。
モビリティで最初に得られるのは基本的な生産性。その次がコラボレーションで、モバイルを利用してどうやってコラボレーションするか。多くの企業はこの段階にある。われわれがその先として用意するのが情報のリアルタイム分析だ。
Burberryは店舗で新製品情報をプッシュ告知
小売りでのモバイルアプリの活用として、顧客が店に入ったらプロモーションや新製品の告知など、情報をプッシュするサービスが考えられる。「Burberry」などが既に着手しており、ショップに入った顧客に過去の商品についてのケアや、購入履歴に基づいたオススメ商品などを提供するソリューションを構築している。
スポーツチームなら、スタジアムに来たファンに対してアプリを通じて体験を拡張するようなサービスを提供できる。例えば、スタジアムで販売しているグッズの紹介でもいいし、ソーシャルの要素を入れて試合についてほかのファンの意見を共有するといったことも考えられる。このようなモバイルアプリは、体験をよりリッチにしてチームとファンとの結びつきを強くできる。
だが、特定の顧客に対し、何をプッシュするかを決めるためには、情報をリアルタイムで分析する必要がある。ここでわれわれが提案するのがHANAだ。HANAはOLTP、OLAPに対応し、情報をリアルタイムに収集するだけではなく、分析も可能だ。モバイルとHANAの組み合わせにより、インメモリ技術による高速処理のメリットをさらに拡大していく。
MWCでは昨年より大きなブースを構えたSAP。ブース内に本物のFormula 1が登場。車本体に装着した250以上のセンサーから情報を収集、HANAを利用してモバイル端末上からリアルタイムで分析する様子を披露していた。