金融業の最重要課題はコンプライアンス
全世界的に事業展開する金融サービス業界向けに、データ管理、データ統合のソリューションを提供しているInformaticaは、この領域で知られる存在だ。同社で、銀行、金融市場、保険関連のソリューションに関する責任者として。金融サービス・ソリューション・ディレクターを務める、Peter Ku氏に、同社の戦略、最近の金融業界の動向などについて聞いた。
--金融業界が抱える昨今の課題はどのようなものか。
Informaticaの金融サービス・ソリューション・ディレクターを務める、Peter Ku氏
米国、欧州、アジアの金融機関を対象に調査したところ、3つの優先課題が浮上した。銀行はグローバル展開をしているところが増えてきたので、彼らの優先課題は概ね共通している。全体としては、規制や法律を順守するということだ。透明性を担保するために必要になる。米国ではDodd-Frank法(ウォール街改革・消費者保護法)、業界全体ではバーゼルIII(自己資本比率規制)などに、きちんと対応しなけらばならない。
2つ目は売り上げを伸ばすだけでなく、高い収益性が見込める顧客との取引関係を維持すること。3つ目は、競争優位性を保つと同時に利幅を確保していけるようにコストを抑制することだ。
--それに対しITへの投資の仕方はどうなっているか。
近年、企業は特にビッグデータ解析、新たなコンプライアンス施策などへの投資をしている。調査会社の見通しでは、企業のIT投資は2013年、前年対比で4~6%増だという。中でも、コンプライアンスとリスク管理が一番重視されている。課題は保険業界も似たようなもので、売上増加やコスト低減化、リスク、コンプライアンス管理の改善などが挙げられる。
しかし、技術投資の行く先はいささか異なっている。保険業の場合、ビジネスインテリジェンス(BI)、ビジネスアナリティクス(BA)には意識して投資している。また、20年から30年くらい使用してきたレガシー資産を、モダンな技術、最新のアーキテクチャに置き換えているところだ。また、運用、ビジネスプロセスのアウトソーシングも活発であるほか、携帯電話なども含め、既存のチャネルへの情報統合も図っている。
アナリストによれば、保険業でもIT投資は、3~5%程度増加する傾向にある。これまでの流れからすると、保険業は、銀行に比べIT投資は少なかったのだが、Gartnerによれば、従業員1人あたりのIT投資額は2007年には2万2000ドルだったのに対し、2016年には3万6000ドルにまで上昇するという。