PwC Japanは1月31日、大手日系企業の海外展開の進展度合いや課題を分析した「日系企業のグローバル化に関する共同研究」を発表した。
各社は「自社の持続的成長のためには、さらなるグローバル化が必要である」という認識で一致する一方、企業活動別では、グローバル化進展の段階にばらつきが見られたという。日系企業は総じてサプライチェーンのグローバル化は進んでいるものの、マーケティングやマネジメント、特にブランド構築や人材育成、統制や管理の点で、成功論を確立できていないことがうかがえるとした。
研究では、対象企業のグローバル化の過程を定性的に分析した結果、海外市場で順調に業績を上げているグローバル企業は、「海外市場で自社のアイデンティティ・企業文化を守るべきか、変えるべきか」の判断に長け、その判断に応じた企業戦略、中でもブランド、人材、コントロール戦略を策定し実行していると指摘。日本企業が今後グローバル化を進める上で、まず乗り越えるべき点は日本本社の意識改革であると説明した。
研究では、海外展開する企業への意識改革を促す手段として「新興国へ展開する方針にも関わらず、日本市場を最優先にしない」「自社の海外の新興国市場での位置づけを再認識する」 「アジア市場と日本市場とは異なる」という認識を持つ」「技術力以外の自社の強みを客観的に再精査する」「グローバル化に伴い増加する社内対立に正面から向き合う」といった取り組みができているかを再考すべきと提案している。
研究は慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 清水勝彦教授と、あらた監査法人、プライスウォーターハウスクーパースが共同で実施。海外売上高が100億円以上、連結売上高に占める海外売上高の比率が10%以上の大手日系企業21社の海外事業担当役員にインタビューし、構成している。