SaaSがもたらすメリットの1つであるスピードを獲得したユーザー部門は今後、SaaSとオンプレミスとの統合でもスピードを要求するようになる――。ガートナージャパンが企業向けアプリケーションの今後を展望している。
ガートナーによれば、2017年までにユーザー部門主体でSaaSの新規導入やSaaSとの新規連携が必要となる大企業の60%以上で、SaaSとオンプレミスの統合にSaaS導入並みのスピードと安価を求める圧力が、“サービスとしての統合プラットフォーム (integration Platform as a Service:iPaaS)利用の促進要因となる”という。
ここで言うiPaaSは、パブリッククラウド間、あるいはパブリッククラウドとオンプレミスを連携させるためのPaaS。同社の調査によれば、大企業の60%以上がパブリッククラウドを利用するメリットとして運用コスト削減、安価、迅速な機能利用を 挙げているという。
つまりは、SaaSの利用拡大に伴ってオンプレミスとの連携が必要になっている。ユーザー部門はアプリケーションの統合でもSaaSのメリットの1つであるスピードを求めるようになると指摘。同じような傾向は今後、クラウドでのワークフローやモバイルの利用拡大に伴って強まるだろうと見通している。
今後の状況に対して、既存のオンプレミス主体の統合はコストとスピードの観点からユーザー部門から敬遠される見込みとなっている。そのためにiPaaSへの関心が高まることになる。
一方で、iPaaSだけでは、オンプレミスとの統合が複雑になるとともに多様性やサービスレベルを満たすことが難しい面もあることから、双方を併用するケースが増えつつあるとみている。
IT部門は今後、SaaSの導入速度に追随できる統合手段としてiPaaS利用をアプリケーション統合のロードマップに含め、オンプレミスの統合技術を併用したアプローチを検討する必要があると提言している。その実現では、アプリケーション機能やデータアクセスのサービスモジュール化、インターフェースのサービス化によるサービス指向アーキテクチャ(SOA)への対応を推進することも、改めて重要になると分析している。