ウェブ開発者は、Microsoftの「Internet Explorer」(IE)の標準に準拠していないバージョンを扱うためにウェブサイトを修正しなければならないことについて、ずっと不満を訴えてきた。今は逆の状態になっている。Microsoftは現在、標準に準拠したIE11を変更して、同ブラウザのモバイル版が非標準のウェブサイトをより正確に表示できるようにしなければならない。
それはMicrosoftだけの問題ではない。Mozilla Foundationの「Firefox」も同じような立場だ。IEもFirefoxも、標準に準拠するのではなく「WebKit」ブラウザエンジンに合わせて開発されたウェブサイトに対応する必要がある。さらに、標準とはかけ離れたApple製ブラウザ「Safari」の一部の機能に合わせて作られたサイトへの対応も必要だ。Microsoftはブログ記事で次のように書いている。「ほぼ標準に基づいている『デスクトップ』ウェブと異なり、新しいモバイルウェブページの多くは『iOS』と『iPhone』向けに設計され、構築されたものだ。多くの場合、これが原因で、ほかのデバイスを使うユーザーの体験が損なわれてしまう」
そのためMicrosoftは、Mozillaと連携して、ウェブ互換性を改善するためのサイト「Bug reporting for the internet」をサポートしているという。同サイトの狙いは、正常に表示されないウェブサイトをユーザーに報告してもらい、Mozillaが開発者に働きかけてサイトを修正してもらうことだ。
Microsoftは「The Mobile Web should just work for everyone」(モバイルウェブは誰が閲覧しても正しく表示されるべき)と題したブログ記事で次のように述べている。「iOSデバイスと『Android』デバイスで得られるウェブ体験と同様の体験を、IEユーザーに提供することを目指してきた。そのために必要であれば、非標準のウェブプラットフォーム機能も追加する。標準化が進んでいない現在のモバイルウェブに対するアプローチとしては、この方が実際的だと考えている」
Microsoftによると、同社は「Windows Phone 8.1 Update」開発時に「最も利用の多いモバイルウェブサイトを500以上」テストし、Twitterをはじめとするそれらのサイトのエクスペリエンスを約40%を改善したという。
同社は以下の点が主な問題だと考えている(引用)。
ブラウザ検出の機能に不具合があるため、IEをモバイルブラウザとして認識せず、デスクトップ版のページを表示する
既に標準に取って代わられた、WebKitの古い接頭辞付き機能しか使っていない
標準が存在しないプロプライエタリなWebKit接頭辞付き機能を使っている
IEがサポートしない機能を使っており、きちんとした代替策も用意されていない
IEで相互運用性のバグと実装の違いが発生する
Microsoftは「デスクトップサイトではあまり使われないが、モバイルウェブではよく使用される」いくつかの標準のサポートも追加する必要があった。「IE11でより多くのモバイルコンテンツを表示されるようにしたとき、こうした機能を追加する必要があると判断した」(Microsoft)
一部のウェブサイトはタッチかマウスのいずれかしかサポートしないという付随的な問題もあるが、「Windows 8」と「Windows Phone 8」のユーザーはその両方を同時に使うことができる。
「ウェブ開発者に、http://modern.ieで公開されているスキャナツールを使って、自分のサイトをテストしてもらいたい。このツールは、ベンダー接頭辞の問題など、コーディングに関するよくある問題を検出し、開発者のコード修正を支援する」(Microsoft)
もちろん、モバイルウェブ開発者が実際にウェブ標準に準拠できるのなら、その方がいいだろう。しかし、この種の失敗は過去にもあった。1990年代の「『Netscape』での閲覧に最適化されています」というフレーズも同じ現象だった。現在の「iOSでの閲覧に最適化されています」「WebKitでのみ動作します」といったフレーズは、同種の繰り返しにすぎない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。