IDC Japanは8月13日、ソフトウェアとアプライアンス製品を含めた2013年の国内セキュアコンテンツ/脅威管理市場規模実績と2018年までの予測を発表した。2013年の国内セキュアコンテンツ/脅威管理製品市場の市場規模は1630億円で、前年比成長率15.2%だったという。
国内セキュアコンテンツ/脅威管理製品市場 機能別 売上額予測、2013年~2018年(IDC提供)
国内セキュアコンテンツ/脅威管理製品市場に含まれるセキュリティソフトウェア、セキュリティアプライアンスをエンドポイントポイントセキュリティ、メッセージングセキュリティ、ウェブセキュリティおよびネットワークセキュリティの4つの機能別市場に分類し、各市場について2013年の分析と2014年~2018年の予測をしている。
2013年の国内セキュアコンテンツ/脅威管理市場は、大企業を中心に業績が回復傾向にある中、標的型サイバー攻撃によるウェブサイトの改ざんや偽装メール、未知の脆弱性を狙うゼロデイ攻撃、またスマートフォン内の個人情報の抜き取りなどの事件も相次いで発生したことで、巧妙化する標的型サイバー攻撃へのセキュリティ対策需要が高まり、同市場は二桁成長となった。
特に、市場全体の7割超を占めるソフトウェア市場が、標的型サイバー攻撃やモバイルデバイスのマルウェアへの対策ニーズによって、2014年以降もエンドポイントセキュリティを中心に需要が高く、市場拡大をけん引するとみられる。国内セキュアコンテンツ/脅威管理市場の2013年~2018年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.9%で、市場規模は2013年の1630億円から2018年には1974億円に拡大すると予測される。
またエンドポイントセキュリティ市場では、コンシューマー向け製品および企業向け製品ともに、Windows XPのマイクロソフトによるサポート終了に向けたPCの買い替え需要の高まりで拡大した。2013年はコンシューマー市場が528億円で前年比成長率16.9%、企業向け市場が394億円で前年比成長率15.4%と、市場全体では前年比16.2%増の922億円だった。
企業向けではサーバの仮想化環境に対応したエンドポイントセキュリティ製品への需要も拡大している。国内エンドポイントセキュリティソフトウェア市場の2013年~2018年のCAGRは、コンシューマー向け製品が3.6%、企業向け製品が4.6%で市場全体では4.1%、2018年の市場規模はコンシューマー向け製品で631億円、企業向け製品で494億円となり、市場全体では1125億円と予測している。
ネットワークセキュリティ市場は、2013年は円安効果で製品単価が上昇したことや、標的型サイバー攻撃対策としてニーズが高いIDS/IPS(Intrusion Detection System/Intrusion Prevention System)と、アプリケーション層まで制御する次世代ファイアウォールを含むUTM(Unified Threat Management)への需要が高まり、市場規模は前年比27.0%増の344億円となった。
2014年以降も、標的型サイバー攻撃対策として、多層防御機能を備えたUTMやIDS/IPSへの需要は継続して高いと見られ、同市場の2013年~2018年のCAGRは5.0%、2018年の市場規模は439億円と予測している。
政府機関や防衛関連産業、金融機関、化学産業など特定の産業分野を標的としたサイバー攻撃が後を絶たない。各産業分野では、業界コンプライアンスなどから産業特化型のシステムが導入されているケースも多く、特定システムの脆弱性が狙われることで、そのシステムを導入している産業分野が同様に攻撃されるリスクも高くなっている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は、以下のように述べている。
「セキュリティベンダーやパートナーは、産業特化型の標的型サイバー攻撃対策製品と、その導入支援や運用管理といったセキュリティサービスをパッケージ化した産業特化型標的型サイバー攻撃対策ソリューションの提供を推進していくべきである。そのためには、産業特化型ソリューションを提供しているベンダーやパートナーとの協業も必要になる」