栗原潔「テクノロジーの先行き」

モノのインターネットにおける「モノ」とは何だろうか

栗原潔 (テックバイザージェイピー)

2014-10-16 07:30

 前回の記事 では、IoT(モノのインターネット)という言葉の定義の拡散について考えた。今回は、そもそも、「モノのインターネット」における「モノ」とは何なのか、という視点からIoTの定義について再び考えてみたい。

多種多様な「モノ」

 「モノ」という概念に対応する概念は従来からある「コンピューター機器」、つまり、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレットなどだ。これらのコンピューター機器ではない(正確に言うとコンピューター機器とはとらえられていなかった)日常生活に存在する「モノ」、たとえば、家電製品、自動車、傘、メガネ、靴、荷物、書類、食料品、日用雑貨等々をネットワークと接続できるようにすることがIoTの本質だ。

 ここで、上記に上げた「モノ」の例を見ただけでも、これらを十把一絡げで扱うことができないことがわかるだろう。これらの「モノ」の特性は多様だ。たとえば、家電製品や自動車であれば電源は安定供給されている。

 また、元々の製品のコストが高いため、高性能なコンピューターを内蔵することによる追加コストを許容しやすい。外界との通信プロトコルはIPv6ベースであることが望ましいだろう。結果的に、これらの「モノ」は従来型のコンピューターにきわめて近いものとなる。

 これとは対照的に、食料品や日用雑貨、たとえば、チューインガムにコンピューターを内蔵することは考えにくい。電源供給などの点で技術的にも困難であるし、コストに見合うメリットが得られるとは思えない。この場合には、無線タグが有効なソリューションになり得るだろう。

 ただし、この場合でもチューインガムのそれぞれに無線タグを付して、といったような2000年頃の無線タグブーム期に宣伝されていたようなソリューションが有効とは思えない。ほとんどのコストがかからない従来型ソリューションであるバーコードと比較したコスト増分を上回る価値が提供できるとは思えないからだ。

 たとえば、ボックスやカートン単位であれば、無線タグによる在庫管理上のメリットが魅力的ソリューションになる余地はある。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]