「モノ」を分類する
上記の議論をさらに進め、IoTの構成要素として考えられる「モノ」を3つのグループに分類してみると下図のようになるだろう。なお、この分類法、および各グループの名称は筆者によるものであり、業界内で確立したものというわけではない。

図:IoTにおける「モノ」の分類整理の例
既に例として挙げた高度なコンピューターが内蔵でき、通信プロトコルとしてIPv6の使用が好ましい"Fat Thing"、そして、無線タグによる実装が好ましい"Tiny Thing"に加えて、その中間的存在である"Small Thing"もある。Small Thingは、電源の供給は可能だがバッテリー持続時間の観点でFat Thingと比較して大幅な節電が必要な「モノ」だ。たとえば、ウェアラブル機器やAC電源のない屋外に設置された機器などがこれに相当する。
Small Thingでは、IPv6よりもBleutoothやZigBee、あるいはそれらのバリエーションのような軽量型通信プロトコルが適している可能性が高い。一方、6LoWPAN(シックスロウパン)というIPv6を軽量型ネットワークで活用できるようにするための通信方式の標準化も進んでおり、さまざまな選択肢が出てくるだろう(ただし、少なくともFat Thingのように常にIPv6が好ましいという状況にはならないと考えられる)。
このように一口に「モノのインターネット」といっても、実際にはさまざまな形態のシステムが包含される。前回と同様だが、「ここで言う『モノ』とは何を指して言っているのか」を事前に明確化しておくことが、議論を効率的に進めるために重要だろう。