ワークスアプリケーションズは2月26日、2016年1月から開始される「社会保障・税番号制度」(マイナンバー制度)に向け、SaaS型マイナンバー管理基盤「My Number Keeping System」のアルファ版を2015年3月、正式版は8月公開、無償で提供すると発表した。同社のユーザー企業以外も利用できる。
ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野正幸氏
マイナンバーは、2013年5月に制定された「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)がもととなっている。番号法には、規定する行政手続の中には民間企業が関わる手続きも多く含まれることから、原則す べての民間企業でマイナンバー制度対応に向けた準備が必要である。
マイナンバーの不正利用は個人の権利利益に重大な被害をもたらす恐れがあり、取り扱いには厳重な管理が必要とされる。一方、法的に明確な保管手段が定められていないため、企業のマイナンバー対応はおくれているという。
「2014年9月のデータで情報を収集している企業が6割、準備をしていない企業が3割。現在もプロジェクトチームを設立しているユーザーは少ないことがうかがえる」(ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野正幸氏)
解決策として発表されたMy Number Keeping SystemはSaaS型の帳票管理システムだ。同社の統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「COMPANY」ではマイナンバ―制に対応するようアップデート予定だが、一部機能を無償で提供する格好となる。My Number Keeping Systemでは個人番号や識別管理を管理し、マイナンバーが表記される法定帳票を作成できる機能が提供される。企業の従業員やその家族などのマイナンバ―管理など、法律に基づく書類が提出可能な機能を備えるという。
My Number Keeping Systemの基盤自体がマイナンバー管理に求められる安全管理措置のガイドラインを満たしており、各企業や団体では安全管理措置に関する個別対応も不要とした。具体的にはユーザーのアクセスを暗号化するだけでなく、個人番号の管理機能では、個人情報となる本人用書類と、個人番号を紐づけるデータを残さないとした。
帳票はマイナンバ―の記載が必要な人事給与や会計などを中心に150種類程度ワークスが用意する予定だ。サービスは、「COMPANY経由」「自社や他社の人事システム経由」「ウェブで提供されるMy Number Keeping System経由」とウェブ経由であり、サービスのためのウェブページを公開する予定としている。
運用イメージ図
牧野氏は無償提供する理由として、社会貢献の意味合いが強いことを示唆した。COMPANYの機能の一部として利用するするため、サービスを構築した5億円という金額はすでに回収のめどがたっているという。「マイナンバ―対応には5000万円程度必要という試算もあるが、中小企業にはもちろん、大企業にも大きい金額。My Number Keeping Systemをインフラとして利用してもらいたい」(牧野氏)