ベンダーは、現代のIT組織にとって不可欠な存在だ。彼らは、業務を遂行し続けるために必要なソフトウェアとハードウェア、社内スタッフの補強や代行もするような人員、そして組織を進化させ、成長させるのに役立つ、大きなアイデアや戦略的な思考を提供してくれる。
ほとんどの組織にとって、数十あるいは数百のベンダーの助けがなければ、IT部門の業務を遂行することは不可能だろう。こうした関係の圧倒的多数は良好かつ互恵的なものだが、この関係がうまくいかなくなることがある。
わが身を振り返る
ベンダーの不適切な行動の責任は完全にベンダー側にあるものと考えがちだ。しかし、実際はそうではないことが多い。ベンダーが十分な仕事をしていない場合、そのベンダーは、不明確な目標を達成しようとしているのかもしれないし、監督や管理が不足しているために、重要ではない、あるいは不要な業務に対して、ベンダーとしては適切にその時間分を請求しているのかもしれない。最悪のケースでは、会社が選択に迷い、ベンダーが仕事を進められるような決断ができずにいる間に、かなりの数のベンダーが業務時間ベースの課金をしながら待機している可能性がある。
不適切なベンダーの振る舞いを自分たちが可能にしているというのは聞きたくない話だが、それは社内の問題なので、プラスの変化を起こすのは比較的容易だ。待機状態にあるベンダーの高額な請求書を見せれば、困難な決断についての同意が得られることも多い。そして、予算をなくしてしまえば、そうしない場合には活気に欠けていたプロジェクトに明確さと方向性を与える傾向がある。
関係性を評価する
時として、ハードウェアやソフトウェアのような有形的な製品でも、クラウドの容量でも、サービスでも、外部の関係者から必要以上に購入することに心が動かされることがある。大半のベンダーは、魅力的な商品を一通り用意しており、「あと数ドル」の追加で、処理能力から、ハイエンドの専門家によるアドバイスまであらゆるものを、一見すると素晴らしいように思える料金で提供できるようにしている。しかしこうした追加分が積み重なると、本当に求めていたのはスタッフを多少増員することだけという時に、本来求めていた無駄のない最小限のプロジェクトチームが、あっという間に高額な費用のかかる専門家のチームになってしまいかねない。
簡単なアドバイス、あるいは小規模のロールアウトとして始まったものが、誰にも再検討されないまま、恒久的な出費へと変わってしまう場合もある。自分たちが受けているサービスが、実際に必要とするものに合っているか、そして最終的に自分たちが支払うことができるものかどうか確認しよう。ベンダーは、サーバを満載したラックを1つ追加したり、補助用アプリケーションのライセンスキーを送ったりすることがあまりに巧みすぎるので、思いがけなく費用が増えてしまい、彼らを擁護できないレベルまで達してしまう。