OpenStack Foundationは10月27日~30日の4日間、「OpenStack Summit Tokyo 2015」を東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で開催する(イベント公式サイト)。初の日本開催となる同イベントでは、OpenStackの開発者、ユーザー、システム管理者向けに多数のセッションが予定されている。一般向けのセッションだけでも450以上あり、とてもすべては回りきれない。そこで、一般向けセッションを中心に同イベントの見どころについて、ビットアイル 執行役員の成迫剛志氏に解説してもらった。
Ambassadorのセッションで世界のOpenStack利用動向を知る
OpenStack Summitは、世界各国のOpenStackプレイヤーが一堂に会する国際会議だ。リリースサイクルに合わせて毎年2回、春は北米地域、秋は北米以外の地域で開催される。OpenStack Foundationには12人のAmbassador(大使)がおり、そのうちの1人がビットアイル総合研究所 所長の長谷川章博氏だ。今回の日本誘致は、長谷川氏の働きかけが大きかったと見られる。
世界のAmbassadorが集まり、日本を含む各国のOpenStackユーザーコミュニティの活動を紹介するセッションは必見だ。OpenStackのグローバルでの利用動向、その中での日本の位置づけを俯瞰的に知ることができる。
- 29日9時~9時40分: Ambassador Community Report
最新版「Liberty」では「Ironic」の機能拡張に注目
10月15日にリリースされたOpenStackの最新バージョン「Liberty」で、成迫氏が特に注目しているのは、ベアメタルプロビジョニングのためのコンポーネント「Ironic」の機能拡張だ。Ironicは、ネットワーク管理コンポーネント「Neutron」と連携して仮想スイッチ機能を実現する。「これにより、ベアメタルサーバでマルチテナント環境を構築した場合のネットワーク設定を自動化できるようになる。これは、前バージョンのkiloでは不十分だった機能だ」(成迫氏)
「国内では、プライベートクラウド環境のサーバを仮想化したくないというニーズがある。マルチテナントが可能になったので、今後は仮想化したサーバと仮想化していないサーバをOpenStack上で一括管理できるようになる」(成迫氏)。Ironicについては以下のようなテクニカルセッションが予定されている。
- 27日13時30分~13時45分: Managing Inventory with OpenStack Ironic
- 28日11時15分~11時55分: Delivering Hybrid Bare-metal and Virtual Infrastructure Using Ironic and OpenStack
IronicとNeutronの連携も興味深いが、成迫氏がNeutron単体以上に導入が拡大していると感じているネットワーク製品がある。Midokuraのネットワーク仮想化ソフト「MidoNet」だ。「RedHat、Hewlett-Packard(HP)のほか富士通もMidoNetを担ぐことを表明しており、今後さらに利用が増えていくだろう」(成迫氏)
- 27日14時45分~15時5分:Midokura- Trouble shooting OpenStack and MidoNet
本国開催に熱が入る国内OpenStackプレイヤー
「初の日本開催ということで、NEC、富士通、日立、NTTグループといった国内でOpenStackをリードするベンダーがこのイベントに合わせて大きな発表をする動きがある」と成迫氏。それゆえに、今回特に注目したいのは国内ITベンダーの発表と、国内ユーザー企業の事例だ。
成迫氏が期待しているのはNTTコミュニケーションズの発表だ。同社は「Cloudn(クラウド・エヌ)」と「Bizホスティング」の2つのクラウドサービスを運用しているが、今回この2つをOpenStackに統合し、IBM SoftLayer対抗でグローバル展開していくと噂されている。同社のセッションは要注目だ。
- 28日14時50分~15時30分: NTT Communications - OpenStack x Enterprise: Formula for Developing OpenStack-Based Cloud for Enterprise
ビットアイルも、中国Huawaiと実証していた高可用性OpenStackに関する発表を予定している。成迫氏によれば、「OpenStackでディザスタリカバリができるテクノロジをリリースする」とのことだ。そのほかにも、OpenStackベースのプライベートクラウドを導入したあとの運用を支援するサービスについても発表する予定だという。
- 28日19時~24時: RSVP required: OpenStack Community Official Evening Event Sponsored by HP, Scality, Cisco, & Bit-isle
また、国内大手のユーザー事例として、キリンホールディングスに注目したい。OpenStackの国内メインユーザーは、これまで、ヤフーや楽天、グリー、サイバーエージェント、GMOインターネットグループなどのIT事業者ばかりだった。今回の東京サミットでは、NTTデータのセッションでキリンの導入事例が紹介される予定だ。
- 28日17時30分~18時10分: Kirin User Story: Migrating Mission Critical Applications to OpenStack Private Cloud.
海外勢ではIBMとHPが面白い
米IBMのクラウド事業といえば、最近はSoftLayerやBluemixに傾倒してOpenStackは忘れているように見えていたが、6月にOpenStackベースのプライベートクラウド構築専業の米Blue Box Groupを買収。「東京サミットで、“Blue Box on SoftLayer”の構想を打ち出してくるのではないかと予想している」と成迫氏。
そのほかにも、パブリッククラウド事業から撤退して今後は「HP Helion OpenStack」によるプライベートクラウドに専念すると発表した米Hewlett-Packard(HP)の動向も気になるところだ。
- 27日14時~14時15分: HP – NFV/OpenStack lessons learned with EMEA telcos
英語が苦手でも大丈夫
例年、OpenStack Summitは全セッション英語で行われるが、東京サミットでは初めて日本語でのトラックが初日の27日に5本用意された。
- 27日11時15分~11時55分: エンタープライズ適用に向けた、ネットワークログ採取の課題と取組み
- 27日12時5分~12時45分: マルチハイパバイザ環境の実現に向けた構築ノウハウと課題の共有
- 27日14時~14時40分: OSSで作るOpenStackの監視システム
- 27日14時50分~3時30分: OpenStackを利用したゲームサービスの実装
- 27日15時40分~16時20分: 40Gbit Ethernet Networkを利用したOpen-Source Hyper-Converged OpenStackへの取り組み
なお展示会場では、17時から「ハッピーアワーブースクロール」が行われる。各出展社が、ブースで来場者に食事とお酒をふるまうOpenStack Summitの恒例の光景だ。成迫氏の事前調査によれば、今回は東京での開催とあって、お寿司などの和食を出す出展社が多いとのこと。こちらも是非楽しみたい。