より賢く活用するためのOSS最新動向

「SDSや全文検索でのOSS導入が拡大」--Linux Foundationの年次調査を読み解く

吉田行男

2015-10-30 07:00

 はじめまして。日立ソリューションズの吉田です。今回から『より賢く活用するためのOSS最新動向』というタイトルで連載を始めさせていただきたいと思います。現在のITシステムはオープンソースソフトウェア(OSS)抜きではもはや構築できない状況になっており、OSSのキャッチアップなしにシステム提案はできません。今回から、そのようなOSSの最新動向とエンタープライズでの活用に向けて、知っておいていただきたい情報を提供していきますので、よろしくお願いいたします。

 第1回目は、最新のOSSの動向を知るために、オープンソースソフトウェア推進団体The Linux Foundationのワーキンググループ「SI Forum」が実施している「オープンソースソフトウェア活用動向調査(OSSツール調査)」を解説します。

1.経緯

 OSSツール調査は、2006年に当時OSDL(オープンソースデベロップメントラボ、現The Linux Foundation)のSI Formワーキンググループが始めた調査です。開始時点では、SI Forumに参加している大手SI会社がどのようなOSSを活用しているかをリストアップすることを目的に、それぞれのOSSについて「導入」「検証」「興味あり」のいずれかをメンバー企業にチェックしてもらい、顧客サイトでの利用実績、各社での検証状況、気になるOSSといった情報を取りまとめて提供しました。

 2年目からは、前年との比較を念頭に置きながら調査し、どのようなOSSが使われるようになってきたかという、いわゆるOSSのトレンドを把握することが目的になりました。以降、毎年調査を実施しており、今年で10回目を迎えます。

2.現状

 2015年度の今回調査には、SI Forumメンバー企業である富士通、NEC、日立製作所、NTT、東芝ソリューションの5社およびそれぞれのグループ企業が参加。顧客サイトでの構築実績のあるOSS、各社での検証実績のあるOSSについてアンケートに回答しています。

3.サマリ

 調査対象OSSは575種類。上記5社のうち半数以上の3社が「導入実績あり」と回答した「導入実績多数」となったツールの数は、129でした。これは、2014年度調査での126ツールと比較して、わずかに増加しています。

 なかでも、今回の調査ですべての会社で導入実績を示している定番化したOSSは21ツールで、この中には開発環境、ミドルウェアなど、システム構築に必要なOSSが含まれており、OSSのみでシステム構築しているケースが増加してきたと考えられます。


分野別のOSS導入状況

4.分野別詳細

(1)仮想化・クラウド
 2014年度の前回調査でも、「仮想化・クラウド」分野でのOSS導入は拡大していましたが、2015年度は一段とその傾向が強まっています。特にコンテナ管理ツールである「Docker」は、昨年に比べて大幅に実績が増えています。Docker関連では、管理ツールである「Kubernetes(クーベルネイテス)」の実績も出てきており、コンテナ関連は今後も期待できる領域になっています。

 OpenStack関連では、従来のストレージだけではなく、ネットワーク分野での適用も増えてきており、今後も増加すると予想されます。PaaS基盤「CloudFoundry」やマルチクラウド管理ツール「CloudForms」は各社が検証している状況で、今後実案件への適用が期待されます。


「仮想化・クラウド」分野のOSS導入状況

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