企業を推進するべき「健康経営」

離職率は半分--VOYAGE GROUPの「健康経営」とは

石見一女

2015-11-14 07:30

 IT企業では、とりわけ一人一人の能力が業績と連動しています。サービスを生み出すアイデアやそれらを形にする能力。機械にとって代わることができない業務がほとんどだからです。一方でメンタルヘルスの問題も他の業種よりも多いと指摘されています。いったいどのように健康経営を推進しているのでしょうか。IT企業の事例をご紹介します。

一人一人を大事にする経営

 今回は「人を軸においた事業開発会社」VOYAGE GROUP 取締役 最高財務責任者(CFO)永岡英則さんに聞きました。

 VOYAGE GROUPはECナビを代表とするメディア事業とアドテクノロジー事業で成長し、9月に東証1部に上場。インターネット黎明期の1999年に創業し、現在は従業員数は約300人。永岡さんは創業期に加わり、CFOを務めています。


VOYAGE GROUP 取締役CFO 永岡英則氏

――社内の内装に特徴がありますね。

 VOYAGE GROUPは名前のとおり、「大航海をしよう、冒険をしよう」が事業の合言葉となっています。従業員をクルーと呼び、大きな船で一緒に航海をする仲間として位置付けています。オフィスの内装も船に見立てたデザインを取り入れた世界観をだしています。

――「健康経営」というキーワードをご存知で推進しているのですか。

 特別に健康経営をしているという意識はありません。それよりも従業員みんながどう健全に仕事がやれるかが大事だと考えています。

――2015年の「Great Place to Work」が調査した従業員100~999人の部門で、「働きがいのある会社」1位を獲得しました。どんな取り組みをしているのですか。

 従業員満足度調査を定期的に実施しています。従業員満足度はかなり良くなっています。健康診断は会社に健診機関の方が来ることになっているため、受診率はほぼ100%です。

 身体的な健康の問題は、社員が若い(平均32歳)ということもあり、今のところクリティカルな問題にはなっていません。しかし、メンタルの問題は多少あります。メンタル面の問題のほうが、経営的には課題です。

――メンタルヘルスの対策は。

 就業時間を記録し、長時間残業が続く人には産業医面談を実施しています。入社時にもストレス耐性を確認するなどの取り組みでメンタルの問題は確実に減少しています。

――職場のコミュニケーションづくりとして取り組んでいることは。

 職場のコミュニケーションづくりは、昔からかなり積極的に取り組んでいます。縦のコミュニケーションとして、上司部下面談。これもかなりの頻度でおこないます。横のコミュニケーションづくりとして、「ボヤージュカップ」という運動会を毎年開催しています。新卒を定期的に採用していることもあり、同期意識もあるようです。

 また部門を超えたエンジニアの勉強会、研修会やサークル活動も盛んです。みんな年次や部署も関係なく参加しています。本社には「AJITO」と呼んでいるBarがあり、気軽に飲んで帰れるようになっています。またボードメンバーによる経営会議で週に1回、組織図を眺めながら一人ひとりの状況を把握しています。

 弊社では消極的な人は生きていけません。健康的にアクティブに仕事をする。前向きに仕事をしていかないと成果も出ないし、幸せでない。ただそのことを意識して取り組んでいるのです。

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