OpenStack Summit

「CephFS」が安定版に--OpenStack定番ストレージ「Ceph」の最新動向

中井悦司 (レッドハット) 2015年11月05日 07時30分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「OpenStack Summit Tokyo 2015」では、OpenStackのコアコンポーネントに加えて、OpenStackと連携する技術に関する数多くのセッションが見受けられた。ここでは、OpenStackと連携する分散ストレージソフトウェア「Ceph」のオリジナル開発者であるSage Weilによるセッションを紹介する。

OpenStackの定番ストレージとなった「Ceph」

 今回のOpenStack Summit開催に先駆けて、OpenStack Foundationが実施したユーザーサーベイでは、62%のユーザーがOpenStackのブロックストレージコンポーネント「Cinder」のバックエンドとしてCephを使用しているという結果が報告された。本番環境でもトップを誇る採用率となっている。

 Cephは、多数の物理サーバの内蔵ストレージを束ねてストレージプールを構成する、いわゆる分散ストレージソフトウェアだ。Red HatのSage Weilを中心とするコミュニティーでオープンソースとして開発が進められている。

 このようなCephの高い採用率を反映するかのように、今回のOpenStack Summitでは、Cephに関連する多数のセッションが開かれていた。実際、セッションスケジュールを確認するために、事前に公式スケジュールから「ceph」というキーワードで検索した所、20以上のセッションが発見された。

 そして、その中でも印象に残ったのは、サーバやソリッドステートドライブ(SSD)、ネットワークスイッチなどを提供するハードウェアベンダーがこぞってCephのベンチマーク結果を報告していた点だ。分散ストレージソフトウェアは、コモディティハードウェアを利用してストレージを構築できることが特徴だが、当然ながら、高い性能を実現する上では、SSDや高速ネットワークスイッチなどの活用が必要となる。

 Cephの性能向上に向けたハードウェアベンダーからの貢献は、開発コミュニティーでも期待が高いものと想像される。SSDを利用したCephの性能向上に関するセッションには、オリジナル開発者であるSage自身も驚きを示すツイートを残していた。

 そして、もうひとつ、筆者の興味を引いたのが、Sageによる「The State of Ceph, Manila, and Containers in OpenStack」というタイトルのセッションだ。このセッションでは、Cephのストレージクラスタ上に分散ファイルシステムを構成する「CephFS」に関する話題が中心となった。

CephFSを解説するSage Weil氏
CephFSを解説するSage Weil氏

安定版「CephFS」の発表

 Cephは、「RADOS」とよばれる分散オブジェクトストアがすべての機能の根本となる。RADOSにOpenStack Swift、Amazon S3互換のAPIを提供する「RADOS Gateway」を組み合わせることで、オブジェクトストレージとしての利用が可能になる。

 あるいは、OpenStackのコンピュートノードに「RADOS Block Device(RBD)」のモジュールを組み込むと、Cephのクラスタ上に作成した仮想的なブロックデバイスを仮想マシンインスタンスに接続することが可能になる。この場合、内部的には、ブロックデバイスを一定サイズのチャンクに分割して、それぞれがRADOS上のオブジェクトとして保存される形になる。CinderのバックエンドとしてCephを利用する場合は、この機能が利用されている。

 しかしながら、SageがCephの開発をスタートした当初の目標は、オブジェクトストレージやブロックデバイスではなく、分散ファイルシステム「CephFS」を実現することであった。ファイルシステムにおいては、一般に、ディレクトリツリーの構造を示す「メタデータ領域」と実際のファイルの中身を保存する「データ領域」が必要となる。CephFSでは、これらをともにRADOS上のオブジェクトとして保存する構造となる。

CephFSのアーキテクチャ
CephFSのアーキテクチャ(発表スライドから引用)

 CephFSの開発はこれまでも長く続けられてきたが、安定性に問題があるため、実験的な機能と位置付けられていた。今回のSageのセッションでは、2016年にリリースされる次期バージョンでは、ついにCephFSが安定版として提供されることが発表された。CephFSの長い開発の道のりを知るオーディエンスからは、自然に拍手が湧き上がっていた

 現在、開発コミュニティーでは、ファイルシステムの整合性チェックや問題判別のツールなどCephFSの利用を支援するツールの開発を急いでいるそうだ。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
IT部門の苦悩
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]