電話番号さえあれば傍受が可能--新しいセキュリティ不具合が明らかに

Zack Whittaker (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-04-19 10:34

 携帯電話の電話番号さえあれば、ハッカーはあなたの通話を盗聴し、テキストメッセージを読み、位置を追跡できる――。米ZDNetの姉妹報道機関であるCBS Newsが2年の制作期間を経て米国時間4月17日に放映したドキュメンタリー「60 Minutes」は、スマートフォン側の保護機能の強化にもかかわらず、膨大な数のスマートフォンユーザーが盗聴や監視をされやすい状況にあることを暴き出した。

 盗聴はSignaling System No. 7(SS7)における不具合を悪用することで可能になる。SS7はあまり知られていないが、電話のネットワーク間の情報を仲介する重要なシステムだ。テキストメッセージを送ったり電話をかけたりするとき、その仲介処理が行われている。

 SS7を標的とすることで、攻撃者は同システムを通過するほぼすべてのものを見ることができるという。

 この脆弱性を発見したのはドイツのセキュリティ研究者Karsten Nohl氏だ。2年以上前に独ハンブルグのハッカー集会で報告した。Nohl氏によると、脆弱性は現在でも存在するという。規制当局の連邦通信委員会(FCC)は当時、脆弱性について調査を開始するとしていた。

 問題は、スマートフォンユーザーができることはほとんどないという点だ。データを暗号化するアプリを利用することぐらいしか対策はない。

 セキュリティ研究者のNicholas Weaver氏はツイートで、「Signal」、「WhatsApp」、Appleの「iMessage」などのアプリは、「土台のネットワークが信用できない」ため、デバイス間でやりとりされるメッセージを暗号化していると述べている。

 暗号化専門家でジョンズ・ホプキンス大学教授のMatthew Green氏は、「セルラー網のセキュリティを信用すべきではない」とツイートした。

 もしハッカーが盗聴の方法を知っているのなら、米国の諜報機関と敵対する他の諜報機関も知っていると思ってよいだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]