IDCフロンティア(IDCF)は、「IDCFクラウド」の東日本と西日本のリージョン間を安全な閉域網で接続するため、ユニバーサルエッジルータを用いてネットワークを自動化した。ネットワークに不慣れな利用者であっても、ウェブポータル画面から東西リージョン間の閉域網を簡単に接続できる仕組みを構築したという。ジュニパーネットワークスがが6月2日に発表した。
ネットワーク概要(ジュニパーネットワークス提供)
IDCFは、IDCFクラウドの顧客設備や他社のデータセンター間を安全に接続する「プライベートコネクト」を2012年から提供してきた。プライベートコネクトの新機能として、1000km以上離れた東西リージョン間のクラウドを閉域網で接続するにあたっては、ネットワークの管理が主な課題となった。
これまで同社は、ジュニパーネットワークスの3Dユニバーサルエッジルータ「MX」シリーズを活用してきた。MPLSによるL3 VPNを用いたデータセンター設備と顧客設備との相互接続サービスや、イーサネットスイッチ「EX」シリーズを活用したL2 VPNも提供する。しかし、これらのVPN接続はハウジングされた機器とのプライベート接続を提供するシンプルなものだった。またこれまでは、対応すべき顧客数、VPN数、管理工数も限られていたため、人手によって運用していたが、クラウドサービスが広まるにつれ、管理負荷が急激に増大していたという。
IDCFでは今回、これらの課題を解決するため、ジュニパーネットワークスのMXシリーズを採用し、ネットワークOS「JUNOS」を活用、ネットワークに不慣れな利用者でもポータル画面から数ステップの設定で東西リージョン間の接続を可能にする機能を開発した。
この新機能の構築においては、Netconfを介してMXシリーズの制御を自動化し、他の管理ツールと組み合わせて管理をウェブ化した。これにより、従来はVPN接続の設定に数日かかっていたものが、わずか1分でリージョン間のネットワーク接続ができるようになった。
こうして、2016年2月にはプライベートコネクトの新機能として「リージョン間接続」の提供開始に至った。このリージョン間接続では、インターネットVPNと比較して通信速度が2~3倍高速で、暗号化も不要な安全で安定した閉域網でクラウドシステムの構築を実現している。